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ロナルド.レーガン政権以来、アメリカが直面している民主主義崩壊の危機はゆっくりとそして着実に拡大している。その最悪の事例は、病的な金権政治、投票権の弱体化、ジェリーマンダリングと呼ばれる過剰な地区境界の編成、および倫理の衰退である。米国下院議会の民主党は、多数派として、新議会が開始された今年1月初旬にこの4つの問題に対処する為、民主主義を取り戻すための象徴的な法案として、The For The People Act (人々のための法律)と呼ばれるHR 1法案を紹介した。それから、二ヶ月以上が経過した10日、下院は腐敗修正法案とも呼ばれているこの法案を全員の民主党が支持し、234 対 193票の党派ラインで通過した。上院議会で通過してもトランプ大統領が署名する可能性はないが、歴史的角度から現状を見ると、その意義は画期的である。

言うまでもなく、近代政治史の中で最も人気があった共和党大統領はロナルド.レーガンである。しかし、肯定的または否定的側面で、どちらのレガシーが強いのか、レーガンほど不明な大統領はいない。彼は現在の共和党の保守派基盤を築いた大統領の一人として、もっとも著名である。その一例は、レーガンの有名で最も引用されている言葉に凝縮されている。1981年1月20日の一般教書演説で、過去数十年間、米国は経済的な病気を抱えていると語った時「今回の危機で、政府は私たちの問題の解決策ではなく、政府が問題です(In this present crisis, government is not the solution to our problem; government is the problem)」と述べた。その後、政府は問題の解決にはならず「政府が問題である」と繰り返し、引用されるようになった。政府は国民の問題を解決する為に存在する機関ではないため、政府に期待してはならないとの意味を暗示していたと分析することが可能である。

事実、レーガンは1980年の大統領選のキャンペーンで、米国教育省の全面的廃止やバイリンガル教育の大幅な削減など、教育での連邦政府の役割を大幅に削減することをアピールした。加えて、全ての国民の平等を謳った1964年の公民権法や1965年の投票権法などリンドン.ジョンソン大統領によって署名された法律に反対し、米国の同性愛者の権利に対しても公然と拒否した。加えて、経済政策では、富豪層や大企業への減税はビジネス投資を刺激する為、長期的には米国社会全体を潤すとのトリクル.ダウン経済(Trickle-down economics)を掲げたことで有名である。これらは、全て現在の共和党の政策に生き生きと繁栄している。しかし、この経済政策は、その理論どおりの結果が長年見られないことを大多数の経済学者が力説しているだけでなく、1980年代から顕著な経済格差が広がったことは承知の通りである。また、現在の指導者は過去の教訓から学んでいないばかりでなく、民主主義は少ないほど良いと考えているように見える言動が目立っている。

金権政治は米国民主主義の病根であると言える現状に大半の国民は嫌気をさしている。なぜなら、政治家に多額を寄付できない一般庶民より、共和党は彼らに多額の選挙資金を寄付する富豪者または大企業のみを優先する政策に没頭しているからである。2010年1月、最高裁はCitizens United v. Federal Election Commissionの判決で最悪の決定をした。お金も言論の自由であるとの最高裁の判定により、企業は政治家に多額の選挙資金を投入する事を可能にした為、結果的に政治家と政策をお金で購入する腐敗政治の主要因になっている。加えて、投票権の侵害は最も深刻な民主主義崩壊の危機である。全ての政治家が憲法と法律に従う場合、投票権を保護する逆の行動はあり得ないが、少数派の投票を弱体化することが共和党の政策である。主に共和党が先導し、拡大した有権者ID法は、民主党に投票する傾向がある黒人やヒスパニック系およびアジア系アメリカ人のような有色人種の少数派をターゲットにし、 この人種の多い地区で、投票場所、投票日程や時間を大幅に削減することで、投票を困難にすることを目的にしている。その目的は奴隷解放後の投票税(Poll Tax)と類似性がある。2013年6月、最高裁は1965年の投票権法の一部を排除した。これは米国が非民主的時代に逆戻りしていることを意味する。

投票に関連性のある過剰なジェリーマンダリングも共和党の重要な選挙対策の一部である。ジェリーマンダリングは、地区の境界を操作することで、特定の党およびグループに政治的優位性を確立することを狙った慣習であり、大抵大統領選など重要な選挙前に操作されることが多い。 2018年の中間選挙前、オバマ前大統領と彼の前司法省長官エリック.ホルダーは、民主党の地区境界の整備を行ったと報告された為、両党が行っている慣習である。しかし、2017年6月、APは、共和党の党派的なジェリーマンダリングは彼らの党に有利であるとの分析調査を報告した。同紙は、彼らの調査結果が2012年から2016年の議会選挙を分析するために3つの統計的検定を使用したニューヨーク大学法学部のブレナン司法センターの分析と似ていると述べている。その報告が「一貫した共和党の優位性と積極的なジェリーマンダリングは連邦議会の地図を歪めているという明確な証拠を発見し、民主主義への脅威を投げかけている」と指摘した。APはある時点で、頻度においても、ジェリーマンダリングを行なっているのは共和党が圧倒的に多いとの研究を報告した。

選挙を有利にする為の党派的ジェリーマンダリングに加えて、倫理性を備えていない指導者が倫理性のない政策を主張する時、それは民主主義崩壊につながる危機があることを意味する。米国は、大統領職を利用して、彼自身のビジネスと彼の家族の利益を肥やすことに執念を燃やす大統領がホワイトハウスに居た歴史はない。現在、多数の共和党評論家さえ、現在の大統領は米国歴史の中で最も腐敗していると公然と批判している。その腐敗した大統領の政権は、同様に腐敗している。2018年10月28日、ニューヨーク.タイムスの二人の記者は「トランプの汚職:決定的なリスト」を公表し、「トランプ大統領、彼の家族、そして彼の数人以上の指名者は、彼ら自身を豊かにするため、大統領職を利用しています。 彼らは彼ら自身の利益のために納税者のドルを使っています。 彼らは外国人からの恋人同士の取引を受け入れています。 そして彼らは、彼らの事業を代表して連邦政府の力を利用しています」と指摘した。また、トランプ政権はその腐敗と汚職を「一生懸命隠す努力さえしていない」と呆れている。タイムスの記者らは、トランプ、トランプ政権の閣僚、彼の家族の汚職について、過去2年間および最近報告されている事例を挙げ、前代未聞の腐敗があると指摘している。例えば、ロシアを含む外国人または外国政府からお金を受けている事実、大統領の会社は海外にビジネスを拡大し、トランプのブランドを拡大する為、大統領職を利用していること、彼の娘婿ジャレッド.クシュナーは対外投資を奨励していること、トランプと彼の複数の閣僚の個人的旅費は納税者から来ていること、最近教育省長官のベッツイ.デヴォスが注目されているが、トランプ政権に友好的な企業は特別待遇を受けていること、官僚の中には非倫理的な株取引に従事したことが含まれる。

これらの驚異的な汚職や腐敗に対して、大半の共和党議員は黙認を続けている。これ自体も民主主義崩壊の危機を感じる一因である。銃乱射または銃の暴力であまりにも多数の若者が死亡しているにも関わらず、90%の国民が支持している常識的なバックグランド.チェックの規制さえ、共和党は長年腰を上げていない。しかし、多数派の下院民主党はマイケル.コーエンが下院監視委員会の公聴会で証言を行なった2月27日、そのような銃規制の法案に投票し240対190 票差で通過した。最近の世論調査は米国半分の国民は、民主主義への確信を失っていることを示唆したが、HR 1法案はこのような前代未聞の腐敗と戦うための第一歩になる。長年蓄積された腐敗の埃を完全に払い落とすことは、その蓄積に流れた歳月と同等の時間を要するかもしれない。少なくとも、米国は様々な側面から軌道修正する必要がある。

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