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「医療保険改正法」タグがついた投稿

ギャップが目立つメディケイド.プログラム

メディケイドは、連邦政府の補助金と監督下で、州政府の予算支出に基づいて、低所得者の成人と子供および身体障害者のために準備された主要な健康保険プログラムである。多くの州は、不況と緩慢な経済回復のため、財政上の制約があり、メディケイド受益者の適正資格を抑制する傾向がある。 (さらに…)

初日のディベートはロムニー氏に軍配(1)

3日東部標準時午後9時から90分間行われた最初の大統領選のディベートは、PBSのジャーナリストで頻繫に大統領選のディベート・モデレーターを努めるジム・レーラー氏が提起した質問および、その質問の応答に対して、交合に相手の意見を聞く問答形式によるものであった。ロムニー氏は、練習を重ねていたと言われるだけあって、最初から顔の表情も良く、落ち着きがあり、穏やかさの中に攻撃的な論争を交える技術は、その練習の成果があって、これまでの印象を覆す効果があった。一方、オバマ氏は、迫力に欠け、失言を避ける慎重さがみられ、多少緊張ぎみであった。更に、対抗者が話す時、顔をあげ相手を見るように努め、頻繫に作り笑いさえ浮かべたロムニー氏に比べ、オバマ氏は、ほとんど始終うつむいていた。この対照的な差は、最初からロムニー氏に軍配が上がることを予期させた。 (さらに…)

ロムニー・ライアン両氏の反女性政策

ロムニー氏がライアン氏を副大統領候補に選んだ数日後から、女性問題の論議が活発化している。最近の大統領選挙キャンペーンは、経済の次に女性の健康問題、特に避妊、中絶に厳格なロムニー・ランアン両氏の政策が焦点になっている。 (さらに…)

医療保険改革法の理想と厳しい医者不足の現実

オバマ大統領の医療保険改革法は、2014年までに新たに30万人が医療保険に加入できることが予測されているが、現状は医者不足であることが判明している。28日の『ニューヨーク・タイムス』紙によると、特にカリフォルニア、ミシシッピー、デトロイト、アリゾナなど各州の特定の地域で、形成外科や皮膚科を除く全ての分野で医者が不足しているという。アメリカ医療大学協会(AAMC)の推定によると、2015年には約63000人の医者が不足し、2025年までには、医療保険改革法が拡大し、現在のベビー・ブーマー世代の医療アクセス需要も増大するため、医者不足は更に2倍に増えることが予測されている。例え医療保険改革法がなかったとしても、10万人以上の医者不足が問題になりそうだ。 (さらに…)

医療保険改正法の撤廃騒動

驚くことに、28日合憲となったばかりの医療保険改正法を執拗に拒絶する共和党議員らは、7月に撤廃の投票を行うと発表した。ロムニー氏は、判定後のコメントで、「昨日悪い政策だったものは、今日も悪い政策で、昨日悪かった法は今日も悪い法だ」と述べ11月の大統領選に勝利したら「真っ先にオバマケアを撤廃する」と公言した。しかし、複数の共和党議員らは、選挙日の翌日まで待てない様子で、7月11日に下院で投票することを決めたようだ。これを、有権者に対する演技だと言う人達もいる。なぜなら、彼らは撤廃の投票をしても、そう簡単には成功しないことを知っているからだ。 (さらに…)

合憲となったオバマ政権の医療保険改正法

米最高裁は、本日28日、オバマ政権の医療保険改正法(正式名はAffordable Care Act) の最も論争的で、最も拒否されていた部分の「強制加入」を合憲とする決定を公表した。最高裁決定の要点は、「医療保険を購入しない者は罰金に科す強制加入が合憲」とした点を「国の経済問題に関与する通商条項 (Commerce Clause)に照らし、合憲である」としたためである。一方、非合法となった箇所は、メデイケイドの拡大にともなう強制部分である。この法の制定に伴い、更に数千万人の低所得者層がメデイケイドを利用できるとする条項に対し、26州が財政上の理由で、この強制的な法の撤廃を望んでいた。メディケイドは連邦政府と州の連帯資金プログラムであるが、例えば、現行法で、連邦資金はA、B、Cのグループに提供されているが、更にD、Eのグループにも拡大するという条項を拒否する州は、そのA、B、Cに対しての資金援助を停止するという規定が違憲であると判定。これにより、州の財政負担を懸念し、撤廃を主張した26州にとって、メデイケイド資金にリスクはなく、更なる拡大の選択は自由となった点でも安堵できる判定となった。

最高裁の決定は、9名の判事らの意見を大きく二分したが、「強制加入が合憲である」と表明したのは、ルース・ギンズバーグ、ソニア・ソトマイヨー、エレナ・ケーガン、およびステファン・ブレイヤー判事 で、最高裁判所長官、ジョン・ロバーツ氏は、「強制加入」の合法性を肯定しなかったが、「議会は課税の権威を有する」とし、いずれの意見にも反対した保守派4名の判事らは5対4で退く結果となった。この法の最も核心部である「強制加入」が合憲となったことで、オバマ政権の医療保険改正法は揺るぎないものとなった。3月の聴聞の席上で、オバマ政権の弁護側が主張した強制加入の通商条項が違憲である場合、医療改正法それ自体が無効になる可能性もあったため、議会に権限を与えたことで、オバマ政権および連邦政府の権力を全面的に支持するかたちとなった。

一方、最高裁の決定は、大半の国民の希望を逆手にとったような結末であったため、問題を複雑にする結果となった。24日の『ロイター』によると、19日から23日までロイターが実施した世論調査で、56%の国民はヘルスケアに反対し、44%が支持している。主な反対理由は、国民に「強制加入」を強いる条項であり、61%のアメリカ人がその「強制加入」に反対し、39%が支持している。しかし、大半の国民は「オバマケア」に反対しているが、その大抵の条項は強く支持しているという矛盾したアメリカ人の複雑な感情を反映している。例えば、子供は26歳まで親の保険に加入できる条項、すでに病気を患っている人に対する保険会社の差別を禁止する条項、更に50人以上の従業員を抱える経営者に従業員の健康保険を義務づける条項を含めて、「大半がオバマ政権の医療保険改正法を大変気に入っている」とし、「共和党が有権者にオバマケアを拒否することを説得している」実体が窺がえるとロイターは伝えている。

オバマ大統領は、最高裁の決定を受けて、ホワイトハウスから数分間程度の短いスピーチを行い、この決定に対し、誰が勝利し、誰が敗北したというコメントは完全に要点を見間違っていると述べた。また、この法の制定は政治的意図によるものではなく、「国にとっていい事だ」と確信していることを伝え、「全国民の勝利である」と語った。今後、この法の条件をさらに満たすよう向上の努力をすると決意をこめた表情で語った。

2014年から医療保険に加入しない国民は、収入の1%(2014年度)を罰金として支払うことになる。カナダのような厳しい医療保険法に比較すると、国民に大きな影響力があるとは考えにくい。むしろ、今後、失業で医療保険を失うこともなく、いつでも、予防と治療が受理可能であるため、健康上の不安はかなり解消されるはずである。今後、共和党と民主党が一体となって、その向上への努力がなされるのか、あるいは、ロムニー氏をはじめ、この撤廃を目論んでいる保守派議員やグループによる阻止行為が続くのか、あるいは、11月の選挙の結果次第により、議会が撤廃に追い込むことになるのか、今後の動向が注目される。

オバマ政権の医療保険改正法は生き残るか?

米国最高裁は、3月26日から28日まで、2010年に制定されたオバマ政権の医療改正法に関する聴聞を行い、今月末までにその聴聞の判定結果を発表します。この医療保険改正法は 2014年から施行される予定ですが、2010年共和党議員らにかなりの修正を加えられて署名に至った後も法の合法性をめぐり論争が続き、ほぼ足踏み状態になっています。国民に医療保険の加入を義務づけ「加入しない国民には罰金を科す」とする「強制加入(Individual mandate)」は合法的であるかどうかが論争の主要点です。

この医療保険法は、患者保護及び経費の側面でも、医療の質と効率性を掲げていますが、反対する人達は、購入したくない物を無理に押し付けられることは、根本的 に「自由の侵害である」と抵抗しています。また、政府の権限が拡大する可能性を懸念する議員や一般の国民もこの医療改正法に反対しています。ミッド・ロムニー氏は、マサチュセッツ州の知事時代に類似した医療保険法を制定していましたが、この法を「オバマ・ケア」と呼び、全面撤廃 を掲げています。一方、支持派は 逆に「自由が拡大する」と主張し、何らかの病気を既に患っている人は医療保険に加入しにくい従来の医療保険制度に反して、更に3000万人以上の保険加入が可能になること、高騰し続ける医療費を抑えることが可能であると主張しています。このように、前者と後者の 「自由」の解釈が異なっていますが、立場を明確にせず沈黙を守っているのは唯一医療保険会社です。医療保険加入者が増大すれば、利益が見込めることは明らかですが、支持を明らかにすると宗教団体からの圧力が懸念されるからです。

26日に始まった米国最高裁での聴聞は、この罰金を徴収する方法が課税と同じだとする観点から税金ではないかとする意見が提起され、罰金が税金の類になるのかどうかという論争が焦点になりました。加入しない国民に対して、実際にその罰金を科すケースが発生する以前に、最高裁で聴聞することは、反差止命令法(Anti-Injunction Act )の法律に照らし、「時期が早すぎた」からです。27日の二日目は、議会が国民に医療保険加入を強制し、2014年までに加入しない国民に対し、2015年の課税時期から罰金を科すことが合法的であるか否かの論議に集中しました。医療保険を国民に強制する権利が議会にあると主張するなら、保険に限らず、健康上推薦可能な他の製品、例えば、ブロッコリーの購入も強制することが可能なのかどうかという質問も提起されました。これに対し、政府側の弁護団は、医療保険を義務づけることは、医療保険に加入することで、国民が積極的に国の経済に関与することを意味し「国の経済問題に関与する通商条項 (Commerce Clause)に照らし、合法的である」と反論しました。合法性の是非に関する論議に集中した2日目は、判事間の見解を二分しました。

最終日28日の最高裁の聴聞では、オバマ政権の医療改正法で加入者の増大が見込まれているメディケイド・プログラムを各州へ参加要請する条項が不当に強制されたものであるかどうかの論争が展開されました。メディケイドは1965年の社会保障制度の改正により制定されたもので、連邦政府と州の連帯資金プログラムとして、貧困ラインの低所得者で子供も含めて医療保険に加入できない国民を対象にした公的医療保険制度です。各州は独自の名称によるプログラムを準備し、その責任を担っています。また、1990年代から2010年まで数々の法制定により、メディケイドの規模は拡大し続けています。 『Medicaid.gov』によると、現行のメディケイド制度は政府が財政の豊かな州にはその費用の50%、乏しい州には75%、平均57%を負担する 補助金を各州に提供しています。子供用の医療保険プログラムを含めて現在約6000万人の低所得者がこの恩恵を受けています。

オバマ政権の医療改革法が2014年から施行された場合、それに伴い、変化する部分は、65歳以上を対象にしたメディケアの条件に適用せず、またどのような医療保険にも加入する余裕のない、数千万人の貧困ラインの低所得者に更なる援助を拡大することです。このような追加分に対して、施行当初から2020年まで連邦政府がその費用のほぼ100%を支払い、長期的には90%くらいまで減少させることが新たな展開になるようです。ほぼすべてが共和党知事の監督下にある26州では、長期的に連邦政府側の補助金が減少すれば、その分だけ州の負担が増えることや、プログラムが拡大し過ぎて、連邦政府からの資金に依存している状況で、州が連邦政府のガイドラインに従わない場合、補助金は停止されることなどを理由に「強制的」であるとし、オバマ政権の医療改正法の完全撤廃を求めています。

また28日は、医療改正法の「強制加入」の合法性の是非に関する論争が再度重要課題となり、今後の選択の可能性が提示された点で生産性があったと思います。オバマ政権の「強制加入は通商条項に照らし合法的である」とする主張が否定され、憲法違反の決定に至った場合、上記のメディケイド拡大案も含め、医療改正法それ自体が無効になる可能性がある一方、分離条項(Severability Clause)に基づき、問題のある箇所を削って使える部分は残す方法があることも示唆されています。この法の生き残りを希望するオマバ政権側は「強制加入」が憲法違反である場合、罰金などの強制部分を修正し、他2~3の条項を削除するのみに留めるとことを主張しているようです。

結論として、米国の医療改革法は11月の大統領選で最も重大な国内政策のひとつであるため、3月の最高裁の聴聞と今月末の最終決定は歴史上画期的なイベントであると思います。3日間の最高裁聴聞での論争の核心部は、医療保険に加入しない個人に罰金を科すなどの「強制加入」が通商条項に照らし憲法違反 であるか否かです。聴聞最終日に提示された3つの選択詞である、「全面撤退」、「強制加入部分の削除」、及び「強制加入部分と他一部条項の排除」のゆくえが6月末以降明白になるはずです。また、オバマ政権の代表側は、既に病気を患っている人に対して加入を拒否する保険会社の「差別」を禁止するよう最高裁に要請しました。オバマ政権の医療改革法が生き残るかどうか、今重大な転換期を迎えています。

医療保険非加入者の早期死亡

医療分野で消費者を保護する非営利団体の『ファミリーズUSA』は、「医療保険非加入者の致命的結果」と題する報告書を発表した。6月度の報告によると、2010年、医療保険に加入していない全米の人口は約5000万人に達している。経済不況の2008年以降、高い失業率、更に医療費高騰で、医療保険を失う人が増加している。保険に加入できない最大の理由は「すでに病状が診断された患者は、保険料がかなり高くなる」ためである。

最近まで保険会社は、すでに病状が診断された患者の保険加入を拒否していたが、このような状況は、今年3月、オバマ政権の医療保険改正法の合法性をめぐる米国最高裁による聴聞の機会に、オバマ政権が公表している。従って、保険会社は健康上に問題のある人の保険加入を拒否するかわりに、保険料を引き上げているものと思われる。

『ファミリーズUSA』は、医療保険に加入できないため適切な治療を受ける機会がなく、早期死亡するケースも増えていると報告している。報告によると、25歳から64歳までの年齢層で、医療保険に加入できないため死亡する人は、1時間ごとに3人、毎日72人、毎週502人、毎月2175人、年間で26100人に達すると推定している。医療保険がないため、早期死亡に至る具体的理由は、緊急医療システムを受けにくい、スクーリニングや医療予防管理を受けることが出来ない、必要な治療が遅れがちである、医療保険のない人はある人に比べて重病になりやすく、早死にする可能性が高いことを報告している。同団体は、支払に無理のない「オバマ政権の医療保険改正法が最高裁に却下された場合、壊滅的な状況になる」と危惧している。