大統領選挙の基本的なシステムとプロセス

選挙人数マップ：By   Britannica

大統領の資格基準は憲法第二条第一項で定められている。① 米国で生まれた米国市民でなくてはならない。②  35歳又はそれ以上でなくてはならない。③ 永久的に、少なくとも14年間米国に住んでいる必要がある。大統領選のプロセスは3つの段階に分かれている。

最初のステップはプライメリー（Primaries）とコーカス（Caucuses）である。米国の議会は共和党と民主党の二つの政党で構成されている。同様のイデオロギーを保持する人々は同じ政党に属しているのが通常である。大統領選の候補者は彼らの党の指名者として勝利する為、全国でキャンペーンを行う。プライメリーでは、党のメンバーは、彼らが総選挙で彼らを代表してほしい候補者を州の選挙で投票する。コーカスは、候補者が党のメンバーに会い、論議する機会を提供するなど、政党が直接運営する個人的なイベントである。一部の州はプライメリーまたはコーカスのみを開催するが、両方の組み合わせを使用する州もある。

次の段階は、全国大会と総選挙である。プライメリーとコーカス後、それぞれの主な党である共和党と民主党は、大統領指名者を選択する為、全国大会を開催する。指名された大統領候補者は、彼または彼女の副大統領を選択する。大統領選の候補者は、支持を獲得する為、全国的キャンペーンを実施する。選挙日には、人々は全ての州で投票を行う。選挙日は11月の第二週目の火曜日として設定されている。その特定の日に不在の予定がある人々は事前に不在投票を行うことが可能である。不在投票の規定は各州によって異なるが、ほとんどの州は期限内に投票用紙を郵送することを許可している。

最後の段階は、エレクトラル.カレッジ（Electoral College）と呼ばれる選挙人システムである。彼らが支持する大統領に投票する時、実際には党によって選出された選挙人と呼ばれる人々のグループに投票していることになる。選挙人の数は議会の代表者数と同じである。それぞれの州は上院議会及び下院議会の議員でその州を代表している議会代表者の数に等しい。つまり、合計538人の選挙人が存在し、党によって選択されたそれぞれの州の全ての選挙人は総選挙の後に1票を投じる。基本的に彼らは誰にでも投票する事が可能である。270またはそれ以上の選挙人数を得た候補者が次期大統領として勝利する。新たに選出された大統領及び副大統領は1月20日に就任式で宣誓を行う。

主な州の中で、選挙人数が最も多い州はカリフォルニア（55人）で、次にテキサス（38）、フロリダ（29）、ニューヨーク（29）、イリノイ（20）、ペンシルベニア（20）、オハイオ（18）、ミシガン（16）、ノース.キャロライナ（15）である。ネブラスカとメイン州を除き、ほとんどの州が人気投票で投票数が多かった候補者がその州の選挙人を全て獲得するシステムを採用している。2016年にトランプは305の選挙人数を獲得したため、227であったヒラリー.クリントンに勝利した。305人中の一人は、トランプ以外の第三者に投票した為、実際には304である。彼は、テキサス、フロリダ、ペンシルベニア、オハイオ、ミシガン、ノース.キャロライナの選挙人を獲得したことで勝利を果たした。しかし、人気投票ではトランプが62,984,000票（46 %）クリントンが  65,853,000（48%）で約300万票多く獲得したが、この選挙人システムの為、クリントンは敗北した。2000年の大統領選で勝利したジョージW.ブッシュは、人気投票で約543,000票も民主党候補者のアル.ゴアにリードされた。

毎回、数百人が大統領候補として立候補するが、寄附金集め、キャンペーン、討論会に参加可能な条件を満たす候補者は非常に限られている。2020年の大統領選の候補者は約20人であったが、12月に討論会に参加可能な民主党候補者は7人に減少し、2020年1月14日の討論会に参加する資格のある候補者は5人に減少した。彼らは前副大統領ジョー.バイデン、バーモント州上院議員のバーニー.サンダース、マサチューセッツ州の上院議員エリザベス.ウォーレン、ミネソタ州上院議員エイミー.クロバァシャー、インディアナ州サウスベンド市長のピート.バデェジェッジである。