続編２：上院司法委員会の劇的な調査報告

ジェフリー・クラーク By Business Insider

米国弁護士を辞職に追い込んだジョージア州での不正選挙の誤った主張

トランプは、ジョージア州での不正選挙に対処するのに十分なことをしていないとして、米国の弁護士ビョンジン・パク（2017年から2021年1月までジョージア州北部地区を代表した韓国系アメリカ人）の辞任を強制した。その後、トランプはパクの後継者を指名する際に、後継者の枠を超え他人物であるボビー・クリスティンを任命した。トランプは、クリスティンが選挙詐欺の主張について「何かをする」と信じていたからである。パク米国弁護士は、トランプとその同盟者が提起した不正選挙のさまざまな主張を調査したが立証できなかった。その誤った主張には、アトランタのステート・ファーム・アリーナで投票用紙が集計されている時、持ち込まれたスーツケースには違法投票用紙が入っていたとする誤情報が含まれていた。トランプはパクを公的および私的に彼がトランプ支持者ではないと非難し、1月3日にローゼンとドノヒューに彼を解雇したいと言った。ドノヒューは、パクがすでに辞任する予定であると主張した時、トランプは容赦し、翌日辞任する限りパクを解雇しないことに同意した。

司法省の長年の慣行を変えた虚偽の不正選挙の主張

米国司法省（DOJ）は、2020年の大統領選挙前まで、不正選挙の調査に明白な措置を講じないことで、選挙の問題に関与しないという方針を長年維持していた。しかし、トランプは投票が承認される前に不正選挙の虚偽の主張を追求することで、選挙の介入を回避することを意図した長年の慣行を著しく変えた。当時、ウィリアム・バァー司法長官は、2020年の選挙直前と直後、この数十年にわたる政策を弱体化させた。この証拠には、個々の州での大統領選挙の結果に潜在的に影響がある投票の不規則性を調査する為、承認後まで待たないよう検察官に指示した2020年11月9日のメモが含まれている。この指令と一致し、バァーによる付加的な個人的関与に続いて、DOJは、委員会に詳細に説明された1つの事例、そして、おそらく他の事例で、不正選挙の虚偽の主張を調査するための明白な措置を講じた。バァーは、その選挙不正の誤った主張に関する調査を実施するよう関係当局に指示したが、12月1日に、選挙結果が変わるほどの規模の不正は発見されなかったと報告した。その後、彼は2020年12月14日に12月23日付けで辞任すると発表した。

ホワイトハウスとDOJ間の通信を制限する長年の規定違反

ジェフリー・クラークは、ホワイトハウスとDOJ間の通信にはポリシーがあり、制限があることを認識しているにも関わらず、彼は無許可でトランプ大統領と何度も接触し、その方針または規定に露骨に違反した。彼は、DOJの職員が許可なく大統領と接触することを禁じているポリシーを認識し、それに従う責任を蔑ろにした。クラークは、2020年11月の総選挙後に、ドノヒューがクラークと他のDOJ上級職員にその規定を送信した為、クラークはコンタクト・ポリシーに違反していることを確実に知っていた。加えて、クラークは二度と大統領と会わないとローゼンに保証したにも関わらず、その後も彼は大胆にポリシーに違反した。

マーク・メドウズも、その方針に繰り返し違反した。トランプは、政敵に対して、法的脅威を遂行するため、司法省を彼の個人的な法律事務所として扱った。しかし、今年7月、ジョー・バイデン政権下では、ホワイトハウスと司法省は完全に分離することを発表した為、秩序が回復されたとして、一部の法関係者は司法長官のメリック・ガーランドとバイデン大統領を称賛した。従って、トランプ政権の慣行とは完全に異なり、大統領が司法省の調査や決定に関与することはなく、司法省の決定権において、大統領の意見が影響しないことを明白にした。つまり、バイデン政権は新たなポリシー下で、司法省が政治から完全に独立した組織として扱うことを公表した。

未完成の調査が明らかにしたこと

この報告書を公開した委員会は、これが中間報告であると述べており、調査は完了していないため、さらに多くの文書とインタビューが引き続き追求されている中で、法定責任の可能性に関する調査結果や推奨事項は作成されていないと述べている。しかし、調査は捜査権と検察権の政治化に対するDOJの保護を強化するための潜在的な立法および監視手順に関する一連の推奨事項と、このエピソードに対応するための付加的調査の必要性を正当化するのに十分な情報が明らかになったと述べている。また委員会の調査は、2020年大統領選の結果を覆すためのトランプの努力にDOJとその指導者を参加させる彼の試みの幾つかの側面を明らかにしたとし、これらの取り組みは、悪意のある行為者がDOJの方針と規範を悪用して、不正選挙の主張が信頼できる証拠に裏付けられていない場合でも、その主張の政綱を提供し、不必要にDOJを政治的論争に巻き込むことを可能にした幾つかの方法を浮き彫りにしたと述べている。また、必要に応じて、連邦および州弁護士会は、これらの悪役を懲戒し、DOJを政治化する将来の試みを阻止するため、追加の説明責任に関する措置が正当化されるかどうかを検討する必要があると結論づけている。

最後に、上院司法委員会による8ヶ月以上の調査に基づく394ページの報告書の報告部分は実際には、付録欄の主要イベントの年表、主要な文書のリストを含めて61ページであり、他は全て添付書類であるため、文書が重要な証拠の一部になっていることを示唆している。例えば、調査は、手書きのメモ、電子メール、手紙、多数の機関による公式文書、裁判所の起訴状を含む法的書類、選挙・投票・再集計に関する記録および書類、議会または議員の関連書類、大統領執務室での写真など、驚異的な種類の書類が含まれている。そして、上院司法委員会の調査報告書は、選挙結果を覆す努力において、当時の大統領ドナルド・トランプが、個人的に深く関与していること、ジョージア州および大統領選の勝利の鍵を握るペンシルベニア州での選挙結果には執拗に圧力をかけていたことを示唆している。

加えて、トランプは米国司法長官ウィリアム・バァーの後継者、およびジョージア州北部地区を代表した米国弁護士ビョンジン・パクの後継者を選択する際、彼の選挙結果を覆す努力に協力する人物を任命するつもりであったことを示唆している。この調査報告は、当時大統領補佐官であり、1月6日の国会議事堂の反乱を調査している米国下院特別委員会による召喚の対象になっているマーク・メドウズがトランプを代表して、DOJに圧力をかけたホワイトハウスの主な人物であることを明白にしている。また、米国司法省副長官ジェフリー・クラークは、選挙転覆を試みた大統領の強力な援助者であったことを示している。大統領は、選挙結果を覆すためDOJをその策謀のツールとして利用したことを明らかにしている。しかし、多くの司法省の上層部はトランプが選挙結果の転覆を強行する場合、彼らは辞職すると警告したことも伝えている。上院司法委員会の調査記録は、米史に残る前代未聞の大統領によるDOJを巻き込んだ選挙結果を転覆する試みの記録である。（完）