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By ABC News

ジョー・バイデンは進歩的な経済政策を掲げているものの、基本的には元大統領バラク・オバマと同様のセントリスト(中道派)の民主党大統領である。しかし、オバマとは異なり、就任約9ヶ月後の複数の世論調査では、バイデンの支持率が9月および10月に初めて最悪の低下を見ている。その理由を追求する為には、幾つかの重要な国内外の論争的な課題や政策におけるバイデンの決定に対する世論を見る必要がある。

ピュー・リサーチ・センターが9月23日に公開した全国世論調査の比較記録によると、バイデンの総体的支持率は7月21日の時点で55%であったが、9月21日に初めて44%に減少した。男性からの支持率は53%から44%に、女性の場合57%から45%に減少した。民主党および民主党寄りの支持率さえ減少し、7月の88%から75%に減少した。有色人種の支持率はもっと顕著であり、黒人の場合、85%から67%に、ヒスパニック系の場合72%から56%に、アジア系は68%から54%に減少した。国内外の政策では、同時期にコロナウイルスに取り組むバイデンに対する民主党および民主党寄りの支持率は92%から81%に低下した。共和党および共和党寄りの場合、33%から15%に減少し、全体的には65%から51%に減少した。外交政策において、良い決定をしているとする評価では、民主党および民主党寄りの回答者の支持率は87%から75%に低下し、共和党および共和党寄りの場合、19%から10%であり、全体としては56%から45%に減少した。加えて、経済に関して良い決定をしているとの意見は民主党および民主党寄りの場合、88%から79%に減少し、共和党と共和党寄りの回答者は16%から11%に減少した。全体的には56%から48%に低下した。更に、移民政策に関する支持率は民主党寄りを含む民主党の場合、85%から73%に減少し、共和党全体では15%から8%、総体的には53%から43%に減少した。国を団結させているかどうかの評価では民主党のグループで大きく低下し74%から55%の変化が見られた。共和党のグループでは17%から8%に低下し、全体的には48%から34%に減少した。

コロナウイルスとその公衆衛生および経済への影響に苦しんでいる米国では、米国成人の26%のみが経済状況を肯定的に評価した。一方、74%は現在の経済状況は穏当または貧弱であると述べた。アフガニスタンからの撤廃がほぼ完了する(した)時期に同じく、ピュー研究所が8月23日から29日に実施した調査によると、米軍によるアフガニスタンからの避難が完了し、アメリカで最も長い戦争が終結したことについて、米国成人の54%は国から軍隊を撤退させる決定は正しいと述べ、42%は間違っていたと述べている。一方、議会両党のリーダーに対する承認および不承認率は、民主党の間で、承認する率は10%で不承認は88%である。共和党間ではいずれも49%対49%で完全に分かれている。総体的には認めている率はわずか27%で、認めていないは圧倒的に高い70%を記録している。

更に10月も引き続き、バイデン大統領の支持率は低下したままである。クイニピアック大学が10月6日に公開した全国世論調査によると、米国成人の38%はバイデンの職務遂行能力に関して支持しており、53%は否定的である。これは就任以来最低の支持率であり、3週間前の42%(支持率)対50%(不支持)から更に低下した。先週の時点で共和党の支持率4%(反対94%)、無党派の場合、60%が反対し32%が支持している。一方、民主党がバイデンの仕事を支持する率は80%、不支持率は10%である。課題の処理に関して、バイデンの仕事の対処について尋ねられたとき、アメリカ人は、ひとつを除くすべての重要な問題で2桁の否定的な支持率が記録された。コロナウイルスへの対応では48%が承認し、50%が不承認であった。経済では39%が承認し、55%が不承認を示した。米軍最高司令官としての彼の仕事に関しては37%が賛成し58%が反対した。税金に関しては37%が承認し、54%が不承認であった。また、外交政策では34%が承認し、58%が不承認である。移民問題では25%が承認し、67%が不承認である。 メキシコ国境の状況には23%が賛成し、67%が反対している。

この状況は、約74%の国民がワクチン摂取を受けたかまたは受ける予定であると答えていることから、極端な低下がないコロナウイルスの対策を除き、他の分野で総体的に改善がスローであることに国民の苛立ちがあることを反映している。しかし、引き続きデルタ変異種の脅威は残ったままであり、その為、経済活動がスローであることなどから、経済に対する確信も衰えていることは確かである。雇用拡大にしても、9月の雇用拡大は約50万人を追加すると専門家は予測していたものの、10月8日に発表された労働統計局の報告では194,000を追加しただけであった。しかし、失業率は0.4%減少し、4.8%まで低下したため、さほど悪い状況ではないが、ビジネス雇用主は労働者を探しているにも関わらず、就労していない一部の労働者は安全な時だけ仕事をすると述べている。これは、就労なしには生活ができない緊迫した状況ではなく、むしろ、その選択が可能な余裕のある人々が多いことを示唆している。

政治的分野の課題では、大多数が支持している投票権の政策が議会で通過していないことなどが挙げられる。米国最高裁は1965年の投票権の一部を弱体化している中で、共和党先導州では、様々な投票制限を行なっている。全ての有権者の投票権が脅かされている中で、米国下院議会で、党派ラインで8月24日に通過した投票権は、上院共和党議員らが、その連邦政府の投票権法案の可決をブロックしている。NBCニュースが8月29日に伝えたところによると、投票権推進グループが委託し、アラスカ、アリゾナ、メイン、モンタナ、ネバダ、ペンシルベニア、ウェスト・バージニア州で、公共政策投票グループが実施した世論調査によると、各州で調査された有権者の54%から64%は、ほぼ全ての課題で60票が必要な上院議会規定のフィリバスター(議事妨害規則)を廃止し、「単純過半数に沿って上院議員が投票法案を可決する」という考えを支持している。経済政策では、15ドルの最低賃金が連邦政府で長年通過していない中で、大多数の国民は、最低賃金が通過していないことに不満があることを示唆している。

移民政策の課題でも、バイデンの支持率が低下している。メキシコ国境の状況とハイチから政治亡命を求めて、9月に不法移民が殺到した中で、論争的な場面が注目された。9月中旬に、連邦法務執行当局は、テキサス州の国境デル・リオにある 巨大な橋の下に滞在していた約12,000のハイチ人を乗馬で追い回り、牛を包囲しているような非人間的な対処の様子がビデオで流れた時、バイデン政権はトランプ政権と同様の対処をしているとして、特に民主党議員らが批判したことが大きく影響している。国土安全保障省の長官は、不法移民は強制送還されることを公表していたものの、この画像は大幅に反感を煽ったため、バイデンは、この対処に関与した関係者には責任を負わせると公的に語った。圧倒的多数のハイチからの難民が特定の場所にテントを設置し、そこで生活し始めた様子は数週間注目されていたが、馬上の国境パトロール当局者の姿はもっとショックを与えた。

これらの状況は、現時点で中間選挙があった場合、バイデンは下院議会と上院で大幅に多数派を失うと言われている。両院で多数派を失った場合、バイデンの最高裁判事指名者はすべて共和党指導者のミッチ・マコーネルにブロックされる状況になることには疑いの余地はない。加えて、全ての委員会も多数派を失う為、民主党の課題は共和党議員らによって抹殺される可能性があることを意味する。しかし、幸い2022年の中間選挙までまだ一年以上ある為、バイデンはこれらの世論調査の状況を来年9月頃までに完全に逆転し、回復するチャンスはまだある。ギャロップの世論調査の記録によると、2009年1月に就任したオバマは、同年の9月21日から27日までの平均支持率は51%であり、10月5日から11日までの同時期の支持率は54%であった。バイデンはオバマと同様に中道派の大統領であるが、オバマの時には、執拗に続いているコロナウイルスの問題はなく、バイデンは歴史上、最も不安定な時に就任した大統領の一人である。中道派の大統領は、極右派または極左の候補者より、大統領選で鍵を握る無党派または中道派の有権者に支持される可能性があるため、フィリバスターの廃止を押すか又はリィコンシリエイション・プロセスを通して、11月初旬までに、債務限度の引き上げと同時に予算法案を通過させること、および下院議会は大多数のアメリカ人が支持しているインフラストラクチャー法案を通過させることで、バイデンの支持率は回復する可能性がある。注目すべき点は、民主党と共和党有権者の世論が極端に異なる為、共和党がほぼすべてバイデンの政策に反対している状況で、基本的に米国は党派的に分裂しており、統一が非常に困難であることを示唆している。また、議会の機能不全とリーダー達の無能さから来る行き詰まりは最悪な状況であり、その責任は大統領に向けられる為、支持率は大きく低下している可能性がある。米国の利益や国民の公益を無視し、富豪者を保護する以外に政策を持たない共和党の党派的姿勢は現在狂気的なレベルに達している。加えて、上院および下院議会の両院で民主党に幾分派閥があるため、引き続き統一が困難な中で、中道派のバイデンは、妥協すべき点は妥協し、無党派と穏健派の共和党有権者にアピールする課題を押し出す必要がある。