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By WEWS

昨日、主な接戦州であるオハイオ州で、上院議会と知事選での予備選が行われた。米国上院の共和党の予備選ではトランプに後援されたJ.D. ヴァンス(右)が勝利し、民主党の予備選では現役の米国下院議員ティム・ライアン(左)が勝利した。同州知事選の予備選では、親トランプ派の3人の候補者は、現役の穏健派の共和知事に大きな差で敗北した。しかも、3人の候補者は、現役知事のコロナウイルス対策に不満があった有権者を引きつけることが動機であったが、彼らの判断は完全に間違いであったことを示唆した。同州での予備選の投票参加に関して、驚異的な事実がある。

オハイオ州の上院議席での争いで、2021年7月1日に引退を発表した穏健派の共和党上院議員ロブ・ポートマンの空席を埋める為の戦いで、両党からの候補者が競っている混雑した予備選で、共和党側では、他の6人の対抗者をリードし、32.2%(340,991票)でJ.D. ヴァンスが勝利した。投票率23.9%(253,051)で二番目に有利であったジャシュ・マンデルと約8%ポイントの差でリードしたヴァンスは、トランプに後援された人物である。彼は2016年に自分を「トランプの男」でないと言い、「彼を好きになったことがない」と語ったが、トランプは彼を承認した後にヴァンスを支持した為、ヴァンスの態度は変わった。トランプが支持する前の世論調査では、遥かに低かったが、他6人の候補者を打破した。昨夜、ヴァンスは「大統領に感謝します。私を支持してくれました」と言った。

上院議会予備選の共和党の投票結果(合計投票数: 1,069,010)                                             

J.D. ヴァンス340,991 票32.2%
ジャシュ・マンデル253,051 票23.9%
マット・ドーラン247,042 票23.3%
マイク・ギボンズ123,417 票11.7%
ジェーン・ティムケン62,237 票5.9%
他の候補者32,375 票3.1%
ニール・パテル9,897 票0.9%

上院議会予備選の民主党の投票結果(合計投票数  510,362)

ティム・ライアン355,764 票69.7%
モーガンハーパー  90,485 票17.7%
トレイシー・ジョンソン  64,113 票12.6%

しかし、ヴァンスは11月に現役の下院議員であるティム・ライアンとの厳しい競争に直面する。オハイオ州は主要な接戦州であるが、民主党の予備選で、ライアンは69.7%(355,764票)で、他2名の対抗者を大きく開いた。約70%の支持率による圧倒的票差で予備選に勝利したライアン議員は11月の選挙で、共和党のヴァンスに勝利するかどうかは、非常に重要な注目点である。ライアンは下院議会で穏健派の民主党であり、政治的経験が豊富であるが、ヴァンスは保守的なコメンテーター、ベンチャーキャピタリスト、そして作家であり、自伝「ヒルビリー・エレジー」で知られている。2013年からオハイオ州の第13議会地区の米国代表を務めるアメリカの弁護士兼政治家であるライアンに比較すると、政治的キャリアがほとんどないヴァンスは、彼の書籍によって、知名度がある点で、11月の上院選挙は非常に注目される可能性がある。

オハイオ州知事選の予備選では、現役共和党穏健派の知事マイク・デワインは48.1%(514,374票)を獲得し、他の3人の親トランプである元議員のジム・レナッチ28.0%(299,515票)、農業を営むジョー・ブリストーン21.8%(232,716票)、実業家のロン・フッド2.1%2(2,212票)の対抗者に大きな票差で楽勝した。民主党の対抗者では、ナン・ウェリーが65.0%(326,329票)でジョン・クランリーの35.0%(175,771票)を引き離した。従って、オハイオ州の知事選では、現役の共和党知事が民主党のウェリーと11月の総選挙で競うことになる。

レナッチ、ブリストーン、フッドの3人は現役知事のCovid- 19の対応に不満があり、立候補した。この3人の挑戦者は、デワインがK-12学校を閉鎖した米国で初の知事であり、州民の健康を重視した為、事業を閉鎖するための命令を出し、社会的距離の要件を迅速に実施した彼の措置に不満のあった有権者からの票を得ることを目指していた。しかし、彼らの判断は間違っていたことを3日の予備選の結果が証明した。オハイオ州での知事選は、コロナウイルスの蔓延中に、最良の措置を取ることに努力した現役の知事に対して、トランプ寄りの候補者のアプローチは、効果がなかったことを明白にした。デワインは、コロナウイルスの対策において、利用可能な「最良の情報」に基づいて、全力を尽くしたことが、3人のトランプ支持者を大きく引き離し、大勝利を果たした要因である。彼は「必要な行動を取ることは知事としての私の責任でした。オハイオ州がパンデミックにどのように近づいたか、そして他の州がどのようにパンデミックに近づいたかを見れば、私たちは公共の安全と許可のバランスが取れていたと思います。人々は生計を立てています」と述べた。つまり、ビジネスの閉鎖と解放に適切なバランスのあるCovid-19の対策に取り組んだことを示唆した。

親トランプ派の候補者は農村地域で、トランプの影響力が残っているが、オハイオ州の予備選は限界があることを示唆している。そして、全体の投票数を見れば、共和党有権者の方が、民主党有権より、投票参加の熱意があったことを示唆している。例えば、上院の競争では、共和党有権者の投票総計は100万票を超えているが、民主党の場合、わずか51万を超えた程度であった。これは、予備選での民主党の投票参加数が非常に低いことを示している。オハイオ州の州務長官が提供した2021年10月1日の統計によると、オハイオ州の登録有権者数は7,982,501 である。その中で、無所属は6,196,547人、民主党に登録した有権者は947,027人、共和党に登録した数は836,080、リバタリアンは2,847人である。これを見ると、オハイオ州では、投票登録している有権者は、民主党が共和党より多い。無所属の有権者の投票数を考慮しない場合、昨日、上院の競争を支援するための民主党の投票参加率は最大約53%であり、共和党に比較すると、大幅に低迷していることを示唆している。

しかし、11月の選挙で、民主党と無所属の有権者を投票に参加させる並外れた努力があった場合、共和党の議席を民主党のテイム・ライアンが確保する可能性はあることを示唆している。予備選の投票参加率は低い傾向があるものの、昨日のオハイオ州の予備選は、特に民主党の投票参加率が低いため、この傾向が11月の選挙でも変化がない場合、大幅に共和党に有利になることを意味する。大統領選挙から2年後の最初の中間選挙では、大統領側の党が議席を失うという記録があるため、政策をアピールしていない共和党議員は、彼らが多数派になると公言している。しかし、米国最高裁は、50年の歴史を誇るロー対ウェイド判決を覆す意図があることを示唆した意見草稿が漏れた後に、民主党は活気付く動機を得たという印象を受けた。つまり、民主党は投票参加を呼びかける強力な動機を得たことで、状況は変わる可能性がある。重要な鍵を握る他の接戦州での予備選は、益々注目されるはずである。