アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2024 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

By Inside Arabia

OPEC とロシアは石油生産の大幅な削減に同意したことが5日に報告されている。これは、モスクワに経済制裁を科す一環として、ロシアの石油価格を上限する計画を推進している西側諸国を攻撃するためのロシアの抵抗の一つである。ホワイトハウスが即時に反応したこの動きは何を意味するだろうか?

ロシアとサウジアラビアが先導する石油輸出国機構は5日、石油生産量を1日に200万バレル、または世界の石油生産量の約 2% に相当する量を削減すると発表した。この決定は、世界経済が不安的な時に、さらに世界中のガス価格を押し上げ、世界的なインフレーションのリスクを悪化させる可能性がある。米国民は1ガロンの平均価格4ドル低下に安堵し始めた時に、再度、石油価格が高騰する脅威に直面している。ホワイトハウス報道官のカリーヌ・ジャン- ピエールは記者への要旨説明で、この決定は「間違いであり見当違いです。今日の発表で、OPECプラスがロシアと足並みを揃えていることは明らかです」と述べた。

OPEC とロシアが石油生産を大幅に削減するとの同意は、世界の石油価格を高く維持する可能性があり、ロシアは引き続き原油輸出から大きな収入を得ることを可能にしたと5日のニューヨーク・タイムスが伝えた。EU は、モスクワに対する新たな制裁包括案の一環として、交渉関係者が4日遅く石油の値段を制限する措置について合意に達し、6日に「最終承認」を得ると予測していた。しかし、西側諸国は突然、この発表に直面した。ロシアの石油の他の主な購入国は、特に中国とインドであるが、これらの国々が上限価格に同意する可能性は低いため、バイデン政権がEUに提唱した値段の上限計画の影響はほとんどないという。この計画では、欧州連合、G 7 諸国、その他の価格上限に同意する代表者で構成される委員会は、定期的に会合を行い、ロシアの石油を販売する価格を決定し、市場価格に基づいて変更されることになっていた。

タイムスによると、EU の交渉に関与している複数の外交官は、価格上限によって最も影響を受ける海洋国のギリシャ、マルタ、キプロスは、ロシアの石油輸送を継続することが許可されるという保証を受けたと述べた。これらの国々は、ロシアの石油の価格上限が自国の海運、保険、その他の産業に影響を与えるという懸念から、ロシアのウクライナ侵攻以来、欧州連合が採用した 8 番目の制裁包括措置を保留していた。先月 G 7 が合意したバイデン政権の広範な計画の一部である価格上限は、ロシアの石油価格を現在より低く設定することを目的としているが、それでもコストを上回っている。米財務省は、この上限によってクレムリンから年間数百億ドルが奪われると計算している。ロシアの歳入を削減するには、米国、ヨーロッパ、およびその同盟国は、ロシアの石油を大量に購入しているインドと中国に、合意価格のみで購入するよう説得する必要がある。専門家は、喜んで協力するパートナーがいても、上限設定は難しいかもしれないと述べている。新しい規則下では、ロシアの石油輸送に関与する全ての企業は、石油が上限価格以下で販売されることを保証する必要がある。ロシアがもっと高い価格で販売することを支援した場合、制裁に違反したとして母国で訴訟に直面する可能性があるという。

要するに、石油価格の上限を設定することは結果的に、利益が減少するというマイナス要素があることを意味する。しかし、OPECはその利益の減少に対抗するため、石油生産を削減するという動きに出た。石油生産の減少は、需要が減少しない限り、石油の価格は上がるため、インフレーションを安定化させることにはならないことを意味する。ジャン- ピエールが「OPECプラスはロシアと足並みを揃えている」と言ったように、ロシアは西洋諸国を窮地に追い込むことで、制裁に対する報復の手段に同盟国のサウジアラビアを巻き込んだことは明らかである。ロシアの大統領ウラジミール・プーチンのウクライナ侵攻は引き続き、世界がエネルギーの危機に対処しなくてはならないことを意味する。バイデン政権は、ロシアのウクライナ侵略が直接要因である石油価格の高騰に対応する為、米国内の石油生産を増加する並々ならぬ努力を行った。また、バイデン大統領は7月にサウジアラビアを旅行し、気が進まなかったモハメッド・ビン・サルマン皇太子と直接交渉したことも既に知られている。今日、燃料を補給する際、ガソリン・スタンドに支払う1ガロンの平均価格が4ドルまで低下した背景には、バイデン政権の努力ある。一方、併合に成功するはずのロシア軍が、ウクライナの東部と南部での最前線を保持することに葛藤がある中で、プーチンは必死にもがいているようにも見える。