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ローレン・ウィンザー Photo credit : WCAX

米国最高裁主席判事のジョン・ロバーツ、サミュエル・アリート判事、アリートの妻マーサ・アン・アリートとの会話の録音テープを10日に公開した女性は、驚きの理由で注目され始めた。その秘密の会話を公開した人物はローレン・ウィンザーである。彼女は昨日11日複数のインタビューを通して、初めて全国テレビに登場した。

ローレン・ウィンザーはリベラル派の政治活動家であり、ウォール街の改革、政治資金の腐敗、気候変動などに焦点を当てている政治コンサルタントおよび映画制作者である。また、アメリカン・ファミリー・ボイスのエグゼクティブ・ディレクターとして、労働者階級と中流階級の経済問題を支援している。ウィンザーはデモクラシー・パートナーズとマイク・ラックス・メディアのパートナーである。また、トム・スタイヤーの2020年大統領選キャンペーンの副広報部長を務めた。ウィンザーは、ウォール街占拠運動やロスアンゼルスでウォール街および選挙資金改革活動家として政治のキャリアをスタートした。ウィンザーの最近の驚きの活動は2024年6月3日、最高裁判所歴史協会の晩餐会でカトリック保守派を装い、米国最高裁主席判事のジョン・ロバーツ、サミュエル・アリート判事、アリートの妻マーサ・アン・アリートとの会話を密かに録音した事である。そして10日にXに投稿し、ローリングストーン誌が最初に発表した。

その録音テープについて報告したABCニュースによると、保守派判事は米国が「神聖さの場所」に戻るべきだと主張するウィンザーに賛同した。 アリート判事は「どちらかが勝つことになります。協力する方法、平和的に共存する方法はあるかもしれないが、根本的に妥協できない相違点があるため、難しいのです」と言った。ウィンザーはその後、アリート判事に「解決策は、道徳的議論に勝つことのようなものだと思う。つまり、神を信じるこの国の人々は、そのために戦い続け、国を神聖さの場所に戻す必要がある」と彼女が述べると、「あなたの意見に賛成です」とアリート判事は答えた。ウィンザーは主席判事ジョン・ロバーツとも話をしたが、ロバーツ判事はアリート判事とは異なる見解を示した。ウィンザーが最高裁は国を「キリスト教」の道に導くべきだと示唆すると、ロバーツ判事は、「私たちがキリスト教国に住んでいるかどうかは分かりません。多分そうではないと言うユダヤ教徒やイスラム教徒の友人もたくさん知っています。そして、それをするのは私たちの仕事ではありません。できる限り最善を尽くして事件を判断するのが私たちの仕事です」と述べ、米国は完全なキリスト国ではないと示唆した。

また、ウィンザーは、オンラインで投稿した別の編集済み録音で、旗について話したアリートの妻マーサ・アンとの会話を公開した。Xに投稿された編集動画では、ウィンザーは晩餐会でマーサ・アン・アリートに近づき、「あなたが経験していることすべて」に同情し、「それは良くないこと」であると述べた。マーサ・アンはニュース・メディアに言及し、「彼らが私のところに戻ってきたら、私が彼らを捕まえるから大丈夫です。私は解放され、彼らを捕まえるつもりです」と言った。マーサ・アンはその後、自分に関するメディアの報道を批判し、「早い段階で軽蔑された」と述べた。 ウィンザーはその後、「天国への訴え」の旗によって引き起こされた騒動について会話を切り替え、アリート夫人は「フェミナチ (アリート判事)が、私をコントロールすべきだと信じています。だから、彼らは地獄に行くでしょう。彼は私をコントロールしません」とウィンザーに語った。

 会話の後半で、マーサ・アンはLGBTQに対抗するために旗を掲げないことで夫に敬意を表した。彼女によると、ニュージャージー州の別荘の近くでプライド・フラッグは翻っていたという。彼女は「私は聖心のイエスの旗が欲しいです。これから 1 か月間、ラグーンの向こうにプライド ・フラッグが掲げられているのを見なければならないからです。すると、彼は『ああ、旗を掲げないでくれ』と言いました。私は『あなたに従うのでしません』と言った」とウィンザーに語った。アリート夫人は「でも、あなたがこのナンセンスから解放されたら、旗を掲げて、毎日、たぶん毎週、彼らにメッセージを送るつもりです。旗を変えるつもりです。いろんな種類の旗を掲げるつもりである」と語った。

アリート判事とロバーツ判事との会話を録音した理由について、ウィンザーは「最高裁は秘密に包まれており、重大な倫理違反の圧倒的な証拠があるにもかかわらず、いかなる説明責任も拒否しているため、このような措置を取るのは正当であると思います」と述べた。ウィンザーは11日CNNに複数回出演し、ある時点で、秘密の録音は不法ではないと言った。「これは音声録音です。ワシントンでは、誰か一人がその人々の当事者である限り、録音することに関して違法性はありません。これは一者同意と呼ばれます」と語った。一方、同協会の事務局長ジェイムス・ダフは同日の声明で、最高裁の会話を公開したローレン・ウィンザーを非難し、「私たちの方針は、判事を含むすべての出席者が敬意を持って扱われるようにすることです。私たちは、この晩餐会で判事を秘密裏に録画したことを非難します。これは、この晩餐会の全体的な精神に反するものです」と述べた。

要するに、最高裁判所歴史協会での年次晩餐会で、保守派のカトリックになりすまし、2人の判事を秘密裏に録画し、それを10日に公開したローレン・ウィンザーは実際にはリベラルな政治活動家で、映画制作者である。ウィンザーは、米国最高裁判事の一部が富豪者から経済的な利益を得ているスキャンダルや党派的過ぎることを示唆する問題が最近報告されている最高裁の判事らを大胆にもメディア暴露のターゲットにしたようである。彼女は、最高裁の主席判事ジョン・ロバーツと論争的な二つの旗の問題で非常に党派的であることを示したサミュエル・アリート判事および彼の妻マーサ・アン・アリートとの会話を秘密裏に録音し、それを公開した。そして、アリート判事と彼の妻が如何に差別者であり狂気じみているかを示唆している。プライド・フラッグ(誇りの旗)は色彩豊かなレインボー・ カラーの旗であり、LGBTQの誇りと その社会運動のシンボルである。カラフルな色はLGBTQ地域社会の多様性と広範囲の人間社会を反映している。ウィンザーの活動とその暴露はさほど珍しいことではないが、最高裁判事へのアクセスは稀であることから、ウィンザーは突然、メディアに注目され始めた。強固な保守派が描いている米国の理想は、米国が完全なクリスチャン国になることである。彼らは政教分離を支持せず、聖書を政治の中心に置き、議会も含めて、すべての公的機関で祈りを行うことを望んでいる。根本的カトリックであるアリート判事が、その中の一人であることはこれまで知られていなかった為、ある意味では保守系カトリックとしてアリート夫妻に接近したウィンザーは成功したと言えるかもしれない。多様な宗教的背景のある友人がいることを示唆した主席判事ロバーツは、アリート判事とは見解が異なることを示し、少なくとも、アリートのような極度の保守派ではないことを示唆した。