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トランプはマコーネルと握手 Photo credit : The New York Times

米国最高裁は満場一致で、避妊薬に対する保守派の挑戦を拒絶した。また、5月30日に有罪判決を受けた前大統領ドナルド・トランプは今日議会の共和党メンバーに会った。一方、現役大統領ジョー・バイデンを含むG7の首脳陣は、ウクライナに対する500億ドルの融資計画に合意した。そして、先進国7カ国のリーダー達は、中国とロシアの技術連携に対する措置を論議しているようである。

米国最高裁は、女性の選択の権利の礎となった1973年のロー対ウェイド判決を2022年に転覆したが、全米を混沌に陥れ、かなりの批判を浴びた。全米の女性による攻撃は最高裁保守派判事らの教訓となり、2024年6月13日、最高裁は避妊薬ミフェプリストンに対する満場一致の最終判決で、この避妊薬を停止するために上訴した反中絶医師グループの主張を拒否した。これによって、この避妊薬が必要なすべての女性は自由に入手することが可能になった。最高裁判事の満場一致の判定は、この薬品に関連する安全性やこの避妊薬が全米での使用の60%を占めているという現状とは無関係である。基本的で最も単純な理由は、反中絶医師グループには、彼らが個人的にミフェプリストンによって損害を受けたという訴訟のメリットが欠けているためである。

この特定の避妊薬には法廷紛争の歴史があり、前大統領ドナルド・トランプに指名されたテキサス州連邦地方裁判所の判事マシュー・カクスマリクは昨年4月7日に、中絶錠剤の使用を全面的に禁止すると判定した。その後、バイデン政権は同年の4月13日に連邦控訴裁判所に上訴したが、ここでは中絶薬の部分的なアクセスを認可し、薬の投与方法に新たな制限が加えられたため、バイデン政権はミフェプリストンを引き続き利用できるよう最高裁に求めていたことはご承知のとおりである。最高裁はその後審理を行い、2024年6月13日に最終決定を下し、昨年バイデン政権の要請を受け入れた結果と矛盾のない判定を下した。これによって、バイデン大統領は女性の避妊薬のアクセス維持について大勝利したことを意味する。

ちょうど2週間前に有罪判決を受けたばかりであり、共和党大統領候補指名をまだ受けていないドナルド・トランプは、13日議会の共和党メンバーに会った。これは議会メンバーからの招待を受けたものではなく、トランプと彼の選挙陣営が事前に提案したものである。下院議会では午前9時半から、ワシントンのキャピタル・ヒル・クラブで会合を開き、上院共和党議員たちは正午過ぎからワシントンDCにある全国共和党上院委員会の建物で会った。昨日12日、トランプが13日に下院及び上院共和党議員らとそれぞれ別々に会うという計画は報告されたが、今日の会合状況の詳細は不明である。しかし、出席者から情報を得たニューヨーク・タイムスによると、トランプは「議事堂の陰の密室で、法執行官らを非難した」という。下院共和党の極右派は「会議から退席し、トランプを追及するさまざまな検察官から同氏を守るため、さらに激しく戦うことを誓った。彼らは召喚状を発行し、トランプを捜査する法執行機関への資金を削減することを約束した」という。

上院議会の共和党議員らは、3年以上交流が絶えていたミッチ・マコーネルも含めて、トランプは6月14日に誕生日を迎えるため、第45代大統領を意味する45の数字と2025年に第47代大統領の就任を祈り47の数字の飾りをつけた大きなケーキをトランプの前に置く(上部写真)など、暖かく彼を迎えたようである。またトランプは上院共和党員との会合で7月15日から18日まで、共和党全国大会を主催するウィスコンシン州のミルウォーキーは、犯罪率が「ひどい」都市であると批判したという。ミルウォーキー市長とウィスコンシン州知事はともに民主党員であるが、同市は、共和党大統領候補指名が行われるイベントを主催するため、そのような発言を避けるべきであった。

一方、ジョー・バイデン大統領はウクライナでの戦争が重要な時期に入った中で、イタリア南部でのG7サミットに参加しており、ウクライナの大統領ウォロディミール・ゼレンスキーも参加している首脳会談で、同国への重要な援助について対処した。ニューヨーク・タイムスが伝えたところによると、ウクライナに500億ドルを提供するG7のリーダー達が合意した融資計画は「武器の購入や損傷したインフラの再建を支援する」ために必要な「ウクライナの緊急の財政ニーズを満たす」ためである。この「返済は西側諸国、主に欧州の銀行に預けられ、凍結されているロシア資産3,000億ドルの利子から返済される予定である。この「融資は米国が引き受けることになるが、米国当局者は、欧州連合(EU)加盟国を含む同盟国が資金の一部を提供すると予測している」という。

バイデン大統領はゼレンスキー大統領と13日に共同記者会見を行い、10年間の安全保障協定に署名した。政権当局者は、これが米国の長期的な関与になることを表明しているという。しかし、この協定は、バイデン大統領が再選に勝利しない場合、その協定が継続される可能性はないため、バイデンは「NATOからの米国の脱退を公言しているドナルド・トランプ前大統領が11月の選挙で勝利した場合でも、米国はウクライナを支援し続けるよう同盟国への説得を試みている」ようである。また、中国とロシア間の技術連携が急速に拡大している中で、首脳会談前夜、バイデン政権はその「技術連携を断ち切ることを目的とした新たな金融制裁」を発表した。米国当局者は、中国とロシアの連携は「ウクライナとの戦争でロシアの軍事力を強化することが目的」であると見ている。

最後に、バイデンは、子息が有罪判決を受けたが、彼に恩赦を与えることはないと述べた後に、ウクライナの平和を求め、及びウクライナを侵略したロシアを制裁するために世界の7か国のリーダーと会っている。バイデンのこの強さは、投獄、保護観察、自宅監禁のいずれかの罪罰の宣告を待っているトランプが必死になり、共和党議員からの精神的支えを求めて、キャピタル・ヒルを訪問した状況とは、あまりにも異なっている。米国の大統領は、その職務に適格な個人であるべきである。2015年10月から2019年 1月まで共和党下院議長で会ったポール・ライアンはトランプが大統領職に「相応しくない」と有罪判決後にコメントしたことが報告された。トランプは2021年1月6日の議事堂暴動以来、初めてキャピタル・ヒルを訪問したわけであるが、この表向きの目的は共和党議員らと団結するためであるという。別の目的は、7月11日東部時間午前10時の処罰宣告、及び2024年大統領候補者として指名される15日から3日間の共和党全国大会を前に、どの議員が彼を支持する可能性があるかを探ることであることは一目瞭然である。共和党議員らは、有罪判決を受けた個人と握手することは恥であるが、トランプを避けた議員らは、彼が勝利した場合、敵を報復すると宣言しているため、攻撃されるという恐れの二つの真理的要因があるように見える。共和党大会で指名された後に彼を公式に支持するが、現時点でトランプに対する支持を表明していないものの、13日の会合にはとりあえず参加すると述べた共和党議員らが多いようである。彼らはトランプを露骨に犯罪者として対処していないようであるが、来月11日後には幾分状況が変わる可能性もある。