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2021年1月6日 Photo credit : The New York Times

今日米国最高裁は、2021年1月6日に米国議事堂を襲撃し、起訴され有罪判決を受けた暴徒らに課せられた一部の刑罰が不適切であると判定した。これを受けて司法省は、公的声明文を公開し、最高裁の判定は圧倒的多数の被告は影響を受けない事を明白にし、対象者の判決を修正する事を公約した。これらの対象者は、減刑される可能性がある。しかし、複数の専門家は、選挙結果の転覆に関与した容疑による4つの罪状で特別検察官ジャック・スミスに告訴されたトランプに課せられた罪状には影響を受けないと見ている。加えて、この暴動事件にも戦略的に関与したとされるトランプ政権下の最初の政策顧問であったスティーブン・バノンは、議会侮辱罪で懲役刑に課せられており、最高裁に上訴していたが、今日最高裁はバノンに対し、服役しなくてはならないと判定した。

バノンは、2021年1月6日の国会議事堂襲撃事件を調査した米国下院特別委員会の召喚状に従わなかったため、2022年に有罪判決を受けた。元ホワイトハウスの側近であった彼は、前大統領ドナルド・トランプの行政特権の主張によって保護されるかどうかが解決するまで召喚状に応じないという立場を維持していた。バノンは7月1日に刑務所に入る予定になっているが、刑期を数ヶ月延期するよう米国最高裁に緊急要請していた。しかし、最高裁の主席判事ジョン・ロバーツは28日、彼の要求を却下したことが今日報告された。彼は、議会侮辱罪による刑務から逃れることは不可能である事を明白に示した。

加えて、国会議事堂襲撃事件後、FBIはトランプ支持派の暴徒数百人を公務妨害または妨害の罪で起訴した。この妨害の罪は以前にも報告されたように、大手エネルギー会社エンロンの破綻時に大規模な会計詐欺と文書の破棄が明るみに出た後に制定されたサーベンス・オクスリー法の一部であり、最高20年の刑期が科せられている。最高裁は28日に6対3の判決で、妨害の罰則が不適切に利用されたと判定した。そして、珍しいことに、リベラル判事ケタンジ・ブラウン・ジャクソンは5人の保守判事に参加し、保守派のエイミー・コニー・バレットは二人のリベラル判事の反対意見に同意した。多数派6人の意見を代表した主席判事ジョン・ロバーツは、「議会がはるかに短い刑期でしか処罰できないと判断した行為」に対して、最高20年の刑期を求める」刑量は重すぎると述べた。

しかし、検察官は議会に侵入した暴徒らが「損傷した記録、文書、その他の物件があるかを被告人に示す必要がある」という。トランプ大統領を訴追したスミス特別検察官は以前、たとえ最高裁が暴徒に対する訴追は不適切だと判決したとしても、別の行為で告発されている元大統領で共和党の有力候補であるトランプに対する訴追は有効であるべきだと述べている。一方、トランプの弁護団は、今日の最高裁の判定を受けて、「この訴訟を棄却するよう求める多数の法的主張を提出しているとワシントン・ポストが伝えた

最高裁のこの判決を受けて、司法長官メリック・ガーランドは司法省のウェッブ・サイトに以下のような声明文を公開した。

1月6日は、政権から政権への平和的な権力移譲という我々の政治システムの要に対する前例のない攻撃でした。本日の判決に私は失望しています。この判決は、この攻撃の最も責任のある人々が適切な結果に直面することを確実にするために司法省が利用しようとしてきた重要な連邦法を制限するものです。 1月6日の違法行為で起訴された1,400人以上の被告の大部分は、この判決の影響を受けません。本日の判決の影響を受けるケースについては、司法省は裁判所の判決に従うために適切な措置を講じます。我々は、1月6日の民主主義への攻撃の刑事責任者を責任追及するために、利用可能なあらゆる手段を引き続き使用します。

最高裁の28日の判定は、告訴されたトランプにどのような影響を与えるかという疑問は圧倒的多数のメディアが提起している。現時点では意見を公開している法学者の数は少ないが、一部の学者はトランプの告訴には影響を受けないと見ている。最高裁の判決は、刑務を受けた一部の暴徒らに対する刑務期間が減少する可能性が高いため、トランプと彼の弁護士らは「大きな勝利」として祝ったと言われている。しかし、複数の専門家は今日の最高裁の判決がトランプの事件に影響を及ぼすとは判断していないようである。BBCが伝えたところによると、シカゴ大学法学部の教授アジズ・ハックは、「トランプに関しては訴訟になると思う。しかし、トランプに対する訴追は『記録、文書、または物品』の偽造または改変を伴う。したがって、この判決がそれらの訴追を弱める可能性は低いと思う」と述べた。さらに、特別検察官のジャック・スミスは、トランプが2020年の選挙結果を覆そうとした事件に関連して、「米国を欺く共謀と市民の権利に対する共謀という他の犯罪」でもトランプを起訴した。これらの訴追は、妨害訴訟の結果にかかわらず進められる」と述べた。

また、USA Todayの報告によると、元連邦検事でジョージ・ワシントン大学法学部の教授であるランドール・エリアソンは「トランプの場合、それは現実的な選択肢となるでしょう。裁判所は、偽の証拠を提出すれば依然として法律に違反する可能性があると認識しており、偽選挙人計画に関しては、起訴は依然として有効であるように思われます」と述べた。加えて、元連邦検事で現在はフォーダム大学法学部の刑法教授であるシェリル・ベイダーも、「トランプを妨害罪で有罪にできる道はまだあります。トランプが支持者を集めて議事堂を襲撃した行為は、裁判所の狭義の妨害罪の定義には当てはまらないが、偽の選挙人名簿を物理的に提示する陰謀に関与したことは、より限定的な解釈に当てはまるようです」と述べた。

要するに、今日28日の議事堂の暴徒らに対する一部の服役量は過度であると最高裁は判定した。司法省は、最高裁の命令に従う意向を表明し、最高裁の判定は1,400人以上の被告に対しては何の影響もない事を明白にした。議会調査で召喚を受け、それを無視し、告訴または投獄された元トランプ政権の側近や高官は、複数存在するため、バノンは最初の人物ではない。来週予定されている別の訴訟で最高裁はトランプの行動に対する免責を認める判決を下す可能性がある。最高裁の主席判事ジョン・ロバーツは、28日、9人で構成される最高裁の現任期の最終日は7月1日であると発表し、準備完了の残りの判決をすべて発表すると述べた。従って、複数のメディアはトランプの免責に関連する判決は月曜日(7月1日)になると確信的である。免責に関連する判定は、最高裁任期の最終日まで延期されたことになる。