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最新の世論調査は、バイデンが再選され、ホワイトハウスに留まる可能性について「恐怖」や「怒り」を感じる共和党有権者の割合は、民主党有権者が推定的共和党候補者の前大統領ドナルド・トランプの勝利に感じる「恐怖」や「怒り」の度合いよりもっと低いことを示した。つまり、バイデンの勝利は共和党の有権者をさほど怒らせ、恐怖に陥れることはないが、トランプの勝利は、もっと民主党有権者を怒らせ、恐怖にさせるということである。そして、多くのアメリカ人は、11月に行われる選挙に積極的ではないという。

今日27日に報告されたAP通信とNORC広報研究センターによる最新世論調査によると、民主党の有権者はバイデンの勝利に期待するよりも、トランプが勝利した場合に怒り、恐るという。トランプが引き起こす感情的な反応はトランプに有利に働く可能性もあるという。 民主党の10人中7人は、トランプが勝利した場合の感情を「非常に良く」、「とても良く」表すのに「怒り」や「恐怖」という言葉が当てはまると答えている。それよりも少ない共和党多数派の56%は、バイデンの勝利について同じことを言っている。 民主党員の10人中約6人は、トランプの勝利を考える際に両方の感情を挙げている。これも、共和党員10人中約4人がバイデンの優勢に怒りと恐怖の両方を感じると回答した数字を上回っている。

投票参加率は勝利の鍵であるが、有権者は、今年の選挙にさほど興奮していないので、投票参加が2020年の選挙と同様に高いかは不明である。しかし、「嫌悪感は熱意と同じくらい有権者の動機となり得る」とAPは指摘している。自身を「非常にリベラル」だと語る26歳の民主党員オースティン・ヒーリーは、バイデンに対する賛否両論の評価は、トランプの再選が「民主主義を廃止しようとする明らかな策略のように見える」という懸念を後回しにしていると語り「あまり興奮していない」が、それはバイデンに投票することを意味すると語った。リベラル無所属派を自認するミシガン州の有権者デリック・ジョンソンもバイデンに対して多くの批判をしたが、46歳の介護士であり飲食店従業員である彼は、自分の結論をはっきりと述べ、「ドナルド・トランプは狂人です。 彼が私たちを第三次世界大戦に巻き込むのではないかと心配です。 私のメッセージはトランプ以外の誰かです」と言った。

無所属を自認するアーカンソー州の退職者ニール・マレー(67歳)は「私が(2016年に)トランプに投票したのは、誰かにワシントンを揺るがしてほしかったからでした。彼は確かにそうしましたが、何も生産的なことはできませんでした」と語った。2016年には見落としていたトランプ大統領の否定的な資質に不満を抱いたマレーは、2020年にバイデンに投票したが、熱心ではなかった。 マレーはバイデンが「幾つかの点で不誠実」であり、経済政策に関してバイデンは左派に近づきすぎていると批判した。しかし、マレーは11月の選挙で、「ドナルド・トランプは叫ぶ狂人だ」という理由で、民主党に2回目を投じる際には何の躊躇もしないと述べた。

この調査結果は、現職大統領と前任大統領の異例の選挙戦が、注目に値することを示唆している。両氏はいずれも、党内や無党派層の間で疑念を抱く有権者と対峙している。 共和党予備選でニキー・ヘイリーを支持した共和党有権者を引き寄せることは、トランプにとって重要な挑戦である。彼女の多くの支持者は、民主党寄りの無党派が多いためである。バイデンが直面している問題は、彼のイスラエル・パレスチナ政策に反対している若い世代である。特に有権者の中で「伝統的に民主党支持者が多い」18歳から29歳までの最も若い世代の「4分の3近くがバイデンのガザ紛争への対処方法を支持していない」と昨年12月21日のニューヨーク・タイムス/シエナ大学の世論調査で報告されている。これは同じ世代が過去にイラク戦争を支持した率に比較すると遥かに高い。ピュー・リサーチが2006年2月 21日に公開した世論調査によると18歳から29歳の回答者が戦争後にイラク戦争を支持した率は戦争前の69%から67%にわずかながら減少しただけである。近年、若い世代は有色人種が増えており、ブラック・ライブズ・マター(BLM)の台頭にも関連している彼らは、イスラエル人よりむしろ、多くのパレスチナ人がガザで死亡している現状に同情以上の感情を抱いているようである。一方、65歳以上は、イスラエルに同情的であるため、この課題に関して、バイデンは中高年および高齢者からの支持を失っていないようである。

要するに、2024年11月にバイデンが再選に勝利することに怒りや恐怖を感じる共和党有権者よりも、トランプが勝利した場合、民主党有権者はもっと怒りや恐怖を表明する可能性があるという。先日トランプは、彼が選挙に敗北した場合、「血祭り」になると言ったが、この調査結果は、トランプが敗北しても特にそのような喧騒はないことを示唆し、そのトランプの予測をほとんど反映していないことを示唆している。この世論は、インタビューでの声が示唆しているように、バイデンが勝利すれば、民主主義が崩壊する可能性はないからである。一部の有権者は、トランプが勝利すれば、米国は独裁者が先導する国になると恐れていることも示唆している。いずれにしても、今年バイデンの勝利に影響があるかもしれない外交政策は、イスラエル・ハマス戦争である。米国は22日、米国主催の国連決議で、ガザ地区でのイスラエル対ハマス戦争を「即時かつ持続的な停戦」を支持する投票を実施したが、ロシアと中国は、戦闘停止の直接的な要求ではないと主張し、拒否権を発動した。また、バイデンは、81歳という年齢を特に懸念している一部の有権者からのプレッシャーにも直面している。トランプが直面している問題は、彼が精神的に的確であるかということと、彼の複雑な法的問題である。トランプに2016年および又は2020年に投票したが、失望し、ヘイリーを支持していた一部の共和党有権者は、彼女が最近競争から離脱したため、第三党から立候補しているロバートF・ケネディ・ジュニアに投票するかまたは、選挙に参加しない可能性があるとの予測もある。しかし、これまでの予備選の結果は、両党の有権者が第三党に大きく影響されていないことを示唆している。