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下院議長マイク・ジョンソンはウクライナとイスラエルに援助資金を提供する計画を発表した。ジョンソンは、15日に発表した包括案の計画に反発があった後、それぞれ異なる5つの法案に投票する計画を進めている。ウクライナに資金を提供する法案に民主党は積極的に投票する予定である。多数派の議席が極度に減少した共和党のリーダーは民主党の投票に依存せざるをえない状況である。しかし、ジョンソンも以前の下院議長と同様に、二人の下院共和党議員はウクライナに資金を提供した場合、議長席から追放するとの脅しに直面している。彼は17日珍しく、記者会見で彼の信念を語った。

ワシントン・ポストの17日の報告によると、ジョンソン議長が今週初めに考えていた「複雑な4部構成の計画」を進めることを諦め、三カ国同盟国への支援に関するそれぞれの法案、共和党が希望している外交政策の優先事項に関する法案、そして米国南部国境の強化に関連する別の法案を含めて合計5つの法案を可決する予定である。ジョンソンは17日の朝、同僚の共和党に宛てたテキスト・メッセージで、「議員からの重要なフィードバックと議論を経て」今週、幾つかの重要な変更を加えて、下院は彼の計画を進めるつもりであると伝えた。イスラエル、ウクライナ、台湾への軍事援助資金を提供する3つの個別の法案は「上院で可決された950億ドルの追加法案を反映している」という。加えて、「ウクライナに直接送られる資金である援助の一部を融資に変え、民主党が要求したガザ、ヨルダン川西岸、ウクライナ、その他の支援を必要としている地域に90億ドル以上の人道支援」を提供する計画が含まれている。ジョンソンが提案している個別の国境法案には、民主党が支持しないH.R. 2の中核的要素が含まれている。これは移民の米国入国を厳しく制限する共和党の移民法である。

しかし、ジョンソンは、共和党および民主党の両党を満足させようとしているが、彼の計画が成功することも、彼が仕事を保持できる保証もない。そして18日から、議会は1週間の休会に入るが、議長は、それぞれの法案を検討するため20日の土曜日まで仕事を続けると発表した。一部の共和党は下院議長のリーダーシップに失望していることは明らかであり、極右派はすでに法案の文言が17日朝に発表される前から、ジョンソンの計画を支持しない意向を示したようである。共和党の態度は様々であり、外国の同盟国を支援したいと考えている人もおり、共和党の団結が不可能であると考えている個人は、ジョンソンが「上院の提案を推進してくれることを望んでいる」という。いずれにしても、国境警備を外国の援助法案から切り離すことは、それぞれの法案可決の可能性を高めるためのジョンソンの試みである。ウクライナへの資金提供を望まない共和党議員の数は多いため、外国の援助法案を可決させるためには民主党の支持が必要となる可能性が高いことも理由の一つである。

ジョンソンはあらゆる分野で、議員らの要求を満たすことを期待し、共和党の支持だけで国境警備法案の可決を目指しているが、下院議会の極右派フリードム・コーカスは、ジョンソンの提案を批判している。彼らは、ジョンソンの国境政策に「苛立って」おり、共和党がこれまで述べてきたあらゆる約束に反するものであり、自国の国境を守ることよりも、ウクライナに資金を提供することを重視しているとの批判もある。ジョンソンは派閥議員らをなだめるために国境法案を別に作成しており、コーカスの大多数のメンバーは、同盟国に資金を送る前に国境を安全にすることを優先するよう要求していた。しかし、多くの共和党はウクライナへの援助に反対しているため、国境の安全と外国援助に関する法案をそれぞれ別々に作成する方法は、いずれも可決する可能性を高めるという。5つの法案を別々に作成するというジョンソンの計画は、今週初めの包括的な法案に多くの共和党が抵抗を示した後に来ている。

ジョンソン議長は、17日夜に記者会見で、なぜ今このタイミングで同盟国援助資金の法案を通過させようとしているのか問われ、明らかに、エモーショナルな表情を見せた。彼は「聞いてください。私の哲学は、正しいことを行い、…もし立ち退き動議に対する恐怖から行動していたら、私は決して仕事をすることができなかったでしょう。今は非常に重要な時期です。私は利己的な決定を下して、何か違うことをすることができます。しかし、私はここで正しいと信じることをやっています」と言った。ジョンソンは、ウクライナへの援助を検討すれば、「小槌を奪い取る動きが必ず出てくる」ことを認識していることを示唆した。

要するに、大多数の共和党は下院議長ジョンソンの外国援助の対処の仕方に満足していないようである。明らかに、下院議会で党派的に最も分裂している課題は、国境、移民、同盟国への援助など、重要な政策である。H.R(House Representative)は下院共和党を意味し、H.R. 2は2023年5月2日に紹介され、共和党のみが支持した法案である。これは亡命資格に制限を設け、移民と国境警備に関する厳しい政策を反映している。共和党には今年初め、同盟国に提供する超党派の厳しい国家安全保障法案を検討し、投票する機会があったが、前大統領ドナルド・トランプは超党派の支持であるにも関わらず、反対を表明した為、進行を断念するという事態もあった。ジョンソンは数日前、マー・ア・ラゴを訪問し、トランプとの合同記者会見を行なった。しかし、彼らの個人的会話はほとんど知られていない。二人の議長を含む一部の共和党はトランプが現在何の政治的機能もない一市民であることを完全に忘れているようである。加えて、ジョンソンは、マージョリー・テイラー・グリーンに加えて、2012 年からケンタッキー州第4区を代表する下院共和党議員トーマス・マッシーが、彼を議長席から引き下ろすという動きに参加しているという状況にも直面している。相次ぐ下院共和党議員らの辞職により、極度に縮小された下院多数派の議長であるマイク・ジョンソンは、議長職を失う危機に直面しながらも、民主党を参加させる超党派の動きを示しているが、分裂している下院議会で引き続き葛藤があることを示している。