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今日から口止め料支払いに関する三週間目の裁判が始まった。判事はドナルド・トランプが9回緘口令に違反したと判定し、必要に応じて、投獄する可能性があると警告した。流石に、トランプは今日法廷の外に集まっていた記者団には何も語ることはなかったが、彼のソーシャルメディアに彼が言論の自由を奪われていると書き、この裁判は彼の選挙を妨害するための不正裁判であると主張した。主要メディアはすでに、トランプの言動が深刻な結果を招くと警告していた。

先週二週目の裁判は、ナショナル・エンクワイアラー誌の元CEOデイビッド・ペッカーの証言が大半を占め、トランプ前大統領の元補佐官ローナ・グラフも一時的に証言台に立った。三週目初日の30日、法廷では裁判の3人目の証人者で、トランプの元弁護士マイケル・コーエンと協力していた銀行家ゲイリー・ファロが証言した。プレイボーイ元モデルのカレン.マクドゥガルの代理弁護士のキース・デビッドソンも証言した。デビッドソンは、2016年に当時のトランプ大統領候補との約1年間の不倫についての話を提供したマクドゥガルに対する支払いの可能性について話し合ったとされる人物である。

三週目の裁判が今日から開始された中で、フアン・マーチャン判事は火曜日(30日)に、トランプ前大統領が緘口令を9回無視したとして1回に1,000ドル(合計9,000ドル)の罰金を課し、侮辱罪で懲役刑の可能性があると警告した。判事は、一連の緘口令違反容疑に言及し、彼は立証責任を果たす必要があると述べた。ニューヨーク・タイムスの報告によると、陪審員や目撃者に対する攻撃が続くようであれば、刑務所服役を言い渡す可能性があると警告した。マーチャン判事は「法廷は法的命令の継続的な故意の違反を容認しない。被告の合衆国憲法修正第1条の権利を強く意識しており、保護している」が、「必要かつ適切であれば」トランプを服役させる意図があると述べた。判事が指摘したトランプの違反は、彼がソーシャル・メディアや選挙ウェブサイトでの投稿を通して、公の場で証人や陪審員を攻撃する発言をしていることである。従って、今日30日午後までに投稿を削除するよう命じた。

この口止め料支払いの裁判で、トランプの弁護士は一人の女性を含めて3人である。しかし、裁判所の内外で主に発言し、法廷で争う中心的な弁護士はトッド・ブランシュである。彼は、前大統領は命令に違反していないと主張したが、マーチャン判事は「あなたは何も提出していない」と叱責し、その主張に対する「事実や判例を整理することに失敗した」ブランシュを非難した。マーチャン判事は「被告の投稿をすべて政治的攻撃への反応として特徴付けるだけ」では、命令に違反していないとは言えないと指摘した。また判事は、トランプの演説は「特定の個人に関係するものであるため、制限を継続することの妥当性を検討する可能性は十分にある」と述べ、場合によっては刑務所での服役もあり得ると示唆した。

マーチャン判事によって、監禁罪の可能性を警告されたトランプは、今日記者団に何も語ることはなかったという。その代わり、彼は自身のソーシャル・メディアへの投稿で、「この裁判官は私の憲法上の言論の自由の権利を剥奪した。私は歴史上、沈黙させられた唯一の大統領候補です。この裁判全体は不正であり、非常に矛盾したこの判事が私の言論の自由を奪うことで、2024 年の大統領選挙を不正に操作しているのです。選挙妨害です」と書いた。トランプは、これまで証人や陪審員を批判する投稿を頻繁に行なっていた。それらの投稿での表現は、結果的に主な緘口令違反の罰金と監禁罪示唆の警告に繋がった。緘口令違反の判決後の投稿では、証人や陪審員はターゲットになっていないが、虚偽の主張に基づいて判事を非難した。これは、マーチャン判事の判決が一時的に効力を発揮したことを示したが、判事を直接批判する事は益々、彼自身の立場を悪くしていることを意味する。

つまり、トランプの言動には結果が伴うと警告されている。タイムスの28日の記事によると、「表現を積み重ねる彼の傾向は、批判者や敵対者の気を散らし、激怒させ、単純に方向感覚を失わせながら、支持者を楽しませ、引き込み、時には脅しや暴力さえも引き起こし、彼自身にとって有利に働くことが多かった」という。トランプは、これまで「生涯にわたる習慣」で、ソーシャル・メディア、テレビ、新聞記者、集会参加者などに「即時狙い撃ち」をする意識があり、そのような習慣の流れは、現在、検察官とトランプに対して「真の権力を持っている判事によって、差し止められる可能性がある」という。「最終的に、この訴訟はトランプの自由を脅かすだけでなく、前大統領のパターンに常に存在する生涯にわたる精神の中心的な教義、すなわち、都合良く真実を無視し、彼に対して有害なものすべてを率直に否定し、そして彼の敵対者の頑固な主張を脅かす可能性がある悪意を常に持って行動している」という。検察官は判事に対し「暴力、嫌がらせ、脅迫という確かな脅迫をもたらした」これまでの攻撃を考慮すると、「証人への攻撃を禁じる緘口令に違反した元大統領を侮辱罪で起訴するよう求めることは必要であったと主張した。

最後に、マーチャン判事による緘口令違反の判決は、主要メディアの予測に反して、今日の裁判まで延長されたようである。トランプが最も避けたい事は刑務所に送られる事である。今後、違反を繰り返す場合、罰金だけで終わることはないことを示唆したことが30日の裁判での最も劇的な一幕である。ドナルド・トランプは、自身の言葉がどのような結果を生むかをさほど考えることはなく、本能的に語る傾向がある。そして、政敵を暴力的に脅すことも自由の言論であると考えているようである。緘口令違反は、裁判官に対する侮辱を意味することから、判事はその命令に頻繁に違反した被告を逮捕するよう法廷内の警察官に命令することが可能である。マーチャン判事は、違反の罰則について語り、ニューヨーク州の法律に従う必要があるため、場合によっては監禁刑が必要になるかどうかを考慮する必要があると述べた。判事は、トランプ前大統領が今後も違反行為を示した場合、追加の罰金と、最大30日間の懲役が科せられる可能性を示唆し、次回は本格的な罰則に直面すると警告した。トランプは、緘口令違反の判決を受けたことに対して、投稿で「言論の自由」を奪われたと判事を批判したが、コーネル法学部の説明によると、米国最高裁は、二つの裁判判例で、憲法修正第 1 条で保護されている表現の自由の権利に基づくあらゆる緘口令の合憲性を分析するため、憲法上の有効性に対して厳しい推定を適用し、⑴ 公判前のニュース報道の性質と範囲、 ⑵ 他の措置が公判前の無制限な宣伝の影響を軽減する可能性が高いかどうか、⑶ 被告が不公平な裁判で脅かされる危険を防ぐために、抑制命令がどの程度効果的に機能するかなどの要素を精査し…「下級裁判所の緘口令は正当である」と認定した。