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イスラエル・ガザ戦争に対する大学生の抗議活動に警察が暴力的に介入し、大学キャンパスを震撼させている時、ジョー・バイデン大統領と前大統領ドナルド・トランプのキャンパスでのプロテストに対する反応が大きく異なることを明確に示した。最新の世論調査は、イスラエルとハマスのガザ戦争に対する最近の暴力的なデモ抗議について、アメリカ人がどのように見ているかを示している。

イスラエルとハマスのガザ戦争に対する抗議活動が2週間以上続いている中で、警察は建物全体を占拠し、幾つかの戦闘が勃発し、数千人の親パレスチナのデモ参加者が逮捕された。ジョー・バイデン大統領はこの問題に対して、距離を置いていたが2日にその態度は変化した。既に報告されたように、バイデンは突然の公的声明で、暴力的なデモ抗議は、平和的ではないため、憲法修正第一条の言論の自由で保護されていないと述べ、暴力が伴う抗議活動は法律違反であることを明白にした。バイデンは米国内のキャンパスが反ユダヤ主義やユダヤ人学生に対する暴力を助長する場所であるべきではないと述べ、キャンパスの抗議活動で混乱が拡大している状況に懸念を示した。しかし、記者会見の最後の段階で、現在起きている暴力的な抗議行動がガザ紛争に対する国の政策を見直す機会になったどうかを聞かれた時に「ノー」と答えた。また、平和的ではない抗議活動に対して、警備隊による介入を支持するかどうかも質問されたバイデンはためらうことなく、そのような予定はないと示唆した。

一方、現在口止め料支払いの裁判で、休廷日を除き、ニューヨーク・マンハッタンにある同州の最高裁判所に出廷しているドナルド・トランプは同じく2日に、親パレスチナの抗議活動者を「極左狂人」と呼び、今すぐ止めなければならない」と言った。又、トランプは警察の取り締まり又は襲撃を歓迎し、「見るべき美しいもの」として称賛した。トランプは4月30日、全米のキャンパスに拡大した学生の抗議活動を2021年の1月6日の米国議会議事堂で彼の支持者が非合法の議事堂侵入および暴動を起こした事件を軽視したとして批判された。前大統領は、ニューヨークのコロンビア校での抗議活動参加者について、「彼らは建物を占拠しました。それは大きなことです」と述べ、破壊、多くの損害、多くの人が重傷を負ったと言った。また、「彼らは多くのことをしているので、1月6日に起きたことと同じようなことになるだろう」と述べ、学生の抗議者らが、議事堂での暴徒と同じような扱いになるだろうかと暗示した。そして、裁判が休廷であった5月1日のウィスコンシン州での集会で、トランプは大学キャンパスでのプロテストについて、「過激派と極左扇動者が大学キャンパスを恐怖に陥れている」時にバイデンは「何も言っていません」と批判した。トランプの語りは、議事堂での彼の支持者による暴動と学生の抗議デモを不当に同等化することで、彼の支持者は1月6日に逮捕され、起訴され、有罪判決を受けたので、最近のデモ抗議の学生らも同様に扱われるべきであると示唆した。

最近のプロテストに対するトランプの幾つかのコメントは、世論に反していることを示唆する側面もある。You Govが5月2日に公開した9,000人以上のアメリカ人を対象にした世論調査によると、米国の大学キャンパスで行われている「親パレスチナ人の抗議活動をアメリカ人が支持しているか、それとも反対しているか」どうかの質問で、米国成人は「強く支持」するより「強く反対」していることを示した。一方、年齢別の調査では18歳から44歳が最も支持し、党派別では、共和党が圧倒的に反対していることを示している。

人口動態強く支持不明強く反対
米国成人282447
18〜44才403130
45才以上191962
大卒381548
非大卒242947
民主党462331
共和党161569

宗教別に見ると、最も強く支持しているグループはイスラム教徒であり、強く反対しているのはユダヤ人であることから、宗教に深く関連していることを示している。そして、「58%の大多数のアメリカ人は、大学がキャンパスで抗議するグループに対して異なる基準を設けていると信じている」ようであり、「大学行政がすべてのグループを平等に扱っていると信じている」のはわずか 12%ある。これは、一方的に親パレスチナ人の抗議活動を批判しているトランプとは異なることを示唆している。

宗教グループ強く支持不明強く反対
イスラム教徒751114
無神論者561926
カトリック312247
プロテスタント181963
ユダヤ人18  972

要するに、親パレスチナ派学生の抗議活動に対するトランプの態度は、彼の4年間の最初の就任時期にイスラム教徒の入国を禁止した政策に一貫性があることを示唆した。トランプはイスラム教徒が多い親パレスチナ派の抗議活動を制圧した警察官らの動きを非常に賞賛したことは驚くことではない。明らかにトランプは、メキシコ系の移民だけでなく、有色人種であるイスラム系の人々に対しても、好ましく思っていないことを改めて示唆した。この点において、学生らの平和的抗議活動に介入し、暴力を助長している警察を間接的に批判しているバイデンとは違いがある。前大統領ドナルド・トランプ は実際には無神論者であると見られているが、ジョー・バイデン大統領はジョンF・ケネディに次いで2人目のカトリック大統領である。この世論調査では、無神論者は、圧倒的にガザで起きている非人道的な状況に反対していることから、これもトランプは一般的なパターンと異なっていることを示唆している。