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連邦政府閉鎖が再開した10月17日から、下院共和党予算委員長のポール.ライアンおよび上院民主党予算委員会議長のパティ.モォリー両氏は来年1月15日で期限切れになる政府の予算について交渉を進めていた。この交渉の最終期限は今月13日であるが、二人はほぼ合意に達したことが判明した。二人の交渉はまだ幾つかの点で結論に達していないようであるが、意外な協議事項が含まれている。

二人の交渉は基本的に重要な4つの要素がある。(1)2014年および2015年の2年間、軍隊から国立娯楽施設に至まで全ての連邦政府の継続的融資(CR)の予算を盛り込んだものである。(2)増税による税改革及びメディケアや社会保障(エンタイトルメント)の削減は一切交渉に含まれていないが、歳入を得る方法としてユニークな協議が行われた。(3)あらゆる分野に自動支出削減するセクエスターは幾分緩和される。(4)両氏の交渉は政府閉鎖を避ける努力に基づいたものである。

共和党は防衛プログラムに200億ドルを削減し約9,700億ドルを目指している。一方、民主党は、1兆ドルを若干越える程度の予算を希望している。共和党は防衛費の削減に不満を抱く可能性があり、民主党は2013年と同じレベルのセクエスターを続けることに反対している。また、歳入を得る方法として、税金の抜け穴を防ぐなどの税改革や増税および、エンタイトルメントの削減は含まれていない。従って、歳入を得る方法として(a)何らかの政府資産の売却、(b)ワイヤレス.スペクトルの競売、(c)連邦政府職員の退職受益プログラムの削減、(d)運輸保安局による安全サービス料金の倍増(現行法のチケット1枚に対し$2.5から5ドルに)などが協議されている。これらの計画については難しい問題があり、数値を含めてまだ具体的な結論に達していない。

ワイヤレス.スペクトルとはラジオ、テレビ、 携帯電話、GPS装置など全ての無線通信に利用されている電磁や周波数で構成されたものを意味する。政府機関である連邦通信委員会(FCC)はこのワイヤレス.スペクトルを追跡し、企業にそのライセンスを付与している。FCCによるスペクトルの競売は2008年から開始され、携帯電話市場では数十億ドルの歳入を得ていると言われている。 ライアンとモォリー両氏の協議には歳入を得る手段の一つとしてこれが考慮されている 。また、連邦政府職員の退職受益プログラムの削減は意外であるが、どの程度なのか不明である。

ライアンとモォリー両氏の合意内容は投票により上院および下院議会で承認を得る必要がある。 両議会はいずれも両氏の交渉結果を支持することが期待されていて、来週はその投票が実施される可能性がある。しかし、共和党はエンタイトルメントなどの予算削減があまりない点で、また、民主党は税金の抜け穴を防ぐなどの手段による税歳入が全くない点で、お互いに不満を表明する可能性がある。しかし、大雑把に判明している交渉内容で言えることは、両氏は両党が最も嫌がるそれぞれの部分を避け、難しい問題に真剣に対応し、お互いに譲歩する努力をした様子があるという点である。両氏の合意内容が両院で通過すれば、今後2年間、連邦政府閉鎖の脅威に直面することはなく、比較的安定した予算で運営することが可能であると思われる。