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NBCNews

第二回共和党大統領候補者の討論会は16日カリフォルニア州のシーミー.バレーにあるロナルド.レーガン大統領記念図書館で開催された。東部時間午後8時から3時間以上のテレビ中継による11人の討論会を一部始終見る機会があった。討論課題は、国内政策で移民法、銃問題、プランズ.ペーレンフッズへの融資論争、同性結婚、社会保障制度、麻疹ワクチン、マリファナの合法化、英語公用化の是非などが含まれた。また、外交政策およびグローバル問題は、今年14年目を迎えた9.11後の前大統領ジョージW.ブッシュによるアプローチの是非、ISIS対策、ロシア問題、イラン核協定、イラク及びアフガン戦争の是非、気候変動など多岐に及んだ。ヒューレット.パッカード元CEOのカーリー.フィオリーナが新たなメンバーとして加わり、10人の候補者のほぼ全員はドナルド.トランプに侮辱されている経験がある為、この機会を利用して彼を攻撃する場面がしばしばあった。討論会のテーマーはリーダシップであると思われたが、主催側のCNN は3人の進行役の質問の中で、そのような機会を与えることを企画したようであった。

11人の候補者が肩を並べた討論台の背景にはレーガンが愛用していた大統領専用機が展示されていた。会場の視聴者は限定された500名の招待客であった。二回目の討論会の機会は10人の候補者にとって、トランプを攻撃するチャンスになったが、今回もフロント.ランナーであるトランプは弁論の向上は全く見られず、外交政策はほとんど何も知らない印象を与えた。従って、他の共和党との口論では、彼の他の候補者に対する侮辱的発言に関して、言われた本人がどう思ったかを聞くことで、再度トランプに発言の機会を与えるなど、つまらない個人的な話題が展開することがしばしばあり、トランプは他の候補者と対立する場面が頻繁に見られた。過去の大統領選の討論会と異なり質が落ちたことを感じた。

例えば、移民問題では全ての不法移民を強制送還する政策を掲げているトランプと、不法移民に常識的な政策を掲げているジェブ.ブッシュとはほとんど立場が異なっている。メキシコ出身の女性と結婚しているブッシュは、以前メキシコからの移民が不法入国することを「愛の行為」だと言ったことがある。トランプは7月「もし、私のワイフがメキシコ出身だったら、私はメキシコからの人々に弱いと思います」と語り、ブッシュの移民政策は彼の妻に影響されていると暗示する発言をしたことがある。昨夜、中央に立つトランプの右側に肩を並べたブッシュは会場に居る彼の妻のコロンバに謝罪するよう要求した。トランプは拒否したが、彼は「彼女は美しい女性だと思います」となだめた時、ブッシュは笑顔を見せ、妻への愛情を強調した。

また、トランプはブッシュが「大半の寄付者の操り人形」だと述べた時、ブッシュはフロリダの知事時代、トランプがカジノ.ギャンブルのためロビー活動で莫大な富を使用し「特別な利益」の為に行動したと批判した。トランプは「完全に嘘」だと言い返したが、ブッシュは「貴方はそれを望んでいたが、それを得なかった理由は私が反対したからです」と反論した。トランプは「今夜もっとエネルギーがありますね。その方が好きです」とからかった。トランプにエネルギーがないと批判されていたブッシュは、今回非常に攻撃的であった為、ステージの中心にいる二人の対立は目立った。

総体的に多数のメディアが最も注目した候補者は、唯一女性のフィオリーナである。彼女は、外交政策も国内政策の課題も全て良く準備し、勉強した内容を完璧に暗記したことを感じさせるほど、全ての課題に驚くほど詳細且つ雄弁であった。トランプに「あの顔を見て下さい。あの顔が大統領になることを想像できますか」と言われた事についてどう思ったかを聞かれた彼女は「私は、全国の女性はトランプが言ったことを非常に明確に聞いたと思います」と述べた。トランプは「彼女は奇麗な顔をしています。彼女は奇麗な女性だと思います」と応答した時、彼女は無表情であった。また、連邦政府のマリファナ合法化の論争があった時、多数の候補者は州に委ねるべきだとの意見を提起したが、彼女は「私の夫と私は薬物中毒の子を埋めました。子供達が今日喫煙しているマリファナはジェブ.ブッシュが40年前喫煙したマリファナではありません。マリファナを喫煙する事はビールを飲むようなものではありません」と個人的な見解から娯楽用マリファナの合法化に強く反対することを明白にした。

ベン.カーソンはこの政治討論の舞台で唯一の黒人であるが、誰よりも穏やかで静かな口調で語るため、また多くの論争に積極的に参加しなかった為、現在2番目に支持されている候補者であるという印象が薄かった。彼は「この競争に参加した時、全ての政治評論家は『それは不可能です。貴方はお金に接続していないので出来ませんよ』と言いました。現在私達には50万の寄付があります。そのお金は入ってきます。評論家は忘れていることが一つあります。それは人々です」と語り、重要な事はお金ではなく、人が付けばお金も自然に入ることを強調したかったとの印象を受けた。麻疹のワクチン論争で、トランプはワクチンによる自閉症の影響はかなり悪疫であると述べたが、カーソンは医者の立場からワクチンが自閉症にリンクしているという医学的証拠はないと反論した。

トランプは何を聞かれても準備をしていない為、質問に答えられない課題では全く違う別の課題にすりかえる場面も幾つかあった。また、億万長者として成功したことを数回強調し「誰からも如何なるお金も受け取らない」と述べた。トランプは人格、知識、経験の面でも大統領としての資質がないと言われているが、彼の落第を願っている多数の共和党候補者は、トランプは党内の恥だと言っているその根拠があると納得させる何かがあった。トランプは、最近多数の世論調査で支持率が低下しているスコット.ウォーカーに対して、彼が知事としての記録には懐疑的なものがあることを暗示した為、ウォーカーは「 既に、ホワイトハウスに見習いは居ますので、我々には別の見習いは必要ありません」と述べ、共和党候補者で最も注目されるようになったトランプ、カーソン、フィオリーナは政治経験がない見習いであることを暗示し、政治的経験がある本人は資格があると強調した。

最初の討論会に比較して課題が豊富であったため、ほぼ全候補者の政治思想は微妙に異なっていることを視聴者に認識させた点で成功したと思われる。特に、多方面からの課題のトーキング.ポイントを見事に準備していたと思われるフィオリーナは最も顕著な勝利者である。また、マルコ.ルビオも良く準備しており、質問に対して非常に素早く流暢に対応した。気候変動否定者と言われているルビオは「アメリカは多くの事で、世界で最も偉大な国ですが、アメリカはプラネットではありません」と言った。このコメントには多数のツィッターによる反論投稿があったようだ。また、左端に立っていたランド.ポールと右端のクリス.クリスティは、おそらく最も発言の機会が少なかったと思われる。討論の当初から、トランプはポールに対して、 「貴方はここにいるべきじゃない。支持率は底位だ。とにかく、このステージは混雑している」と皮肉を述べた。クリスティはトランプとフィオリーナとの無意味な会話に対して、「二人とも成功者でしょう。幼稚なやりとりは止めなさい」と指摘した。

30年以上の歴史を誇るCNNは近年娯楽化し、質が下がっているが、同局によると、この討論会は約2,300万人の視聴者があった。トランプの他のライバルに対する個人的中傷を再現したことで視聴率を高めることに成功した側面もあったと思われる。しかし、つまらない質疑応答の為、1問1分の討論会に時間を費やしすぎたとの不満もあったようである。ツィッター投稿頻度が最大であったトランプは約35,000回、次にフィオリーナは約19,000の一般からのコメントを受けた。彼女は、支持率を基準に10人を選出した8月のフォックス.ニュース主催の初回討論会で除外されたが、除外者だけの別の討論会後に注目されるようになった。今回CNNは規定を変え、彼女を追加した。ロシアやシリアなどの外国政策、オバマ政権、ヒラリー.クリントンに対する誤った批判も含めて、非常に強い政策をアピールした彼女は総体的に驚異的な印象を与えた。