最後の投票日まで5日が残された今日、熾烈な戦いを展開している両党の大統領指名候補者ヒラリー.クリントン及びドナルド.トランプは彼らの支持者に猛烈な投票を呼びかけている。FBIの突発的なEメール発見公表の 28日以降、トランプから遠ざかっていた彼の支持者は再度戻ってきたため、その後公表された複数の世論調査機関による両氏の支持率は非常に接近している。また、トランプは先月中旬まで、ほぼ全ての接戦州でクリントンに大幅にリードされていたが、幾つかの州でクリントンをリードしている。現在、かなり接戦傾向であるが、統計的数値は今日が投票日であった場合、クリントンは問題なく当選する。しかし、8日には更に激戦になる可能性が高い幾つかの要因がある。
最新の全国の世論調査は下記の通りである。
調査機関 | 調査期間 | クリントン | トランプ | マージン |
Rasmussen | 10/31 – 11/2 | 42 | 45 | トランプ +3 |
Lucid/The Times-P. | 10/31 – 11/2 | 44 | 39 | クリントン+5 |
IBD/TIPP | 10/29 – 11/2 | 44 | 44 | |
Ipsos/Reuters | 10/29 – 11/2 | 45 | 39 | クリントン +6 |
YouGov/Economist | 10/30 – 11/1 | 46 | 43 | クリントン+3 |
ABC News/W.P | 10/29 – 11/1 | 47 | 45 | クリントン +2 |
N.Y. Times/CBS News | 10/28 – 11/1 | 47 | 44 | クリントン+3 |
トランプが勝利するためにはほぼ全ての接戦州で勝利する必要があるが、二つの主要統計機関は、大半の接戦州でクリントンが有利であることを示唆している。
接戦州 | ニューヨーク.タイムス | Five.Thirty.Eight | ||
クリントン | トランプ | クリントン | トランプ | |
フロリダ | +1.7 | +0.1 | ||
ペンシルベニア | +5.6 | +3.7 | ||
N.キャロライナ | +4.0 | +0.1 | ||
ミシガン | +4.4 | +4.2 | ||
コロラド | +4.6 | +3.3 | ||
バージニア | +7.2 | +4.6 | ||
オハイオ | +3.8 | +2.4 | ||
ウィスコンシン | +3.8 | +4.3 | ||
ミネソタ | +8.9 | +5.2 | ||
アリゾナ | +1.6 | +2.6 | ||
ネバダ | +1.2 | |||
N.ハンプシャー | +5.2 | +2.8 | ||
ニューメキシコ | +5.8 | |||
ジョージア | +2.1 | +5.6 | ||
アイオワ | +2.5 | |||
ミズリー | +8.8 |
二つの主な分析機関が指定した接戦州16 の中で、特にフロリダ、ノース.キャロライナ、オハイオ、アリゾナ、ネバダ、アイオワ州はどちらにでも転ぶ可能性がある。フロリダは特にトランプの必須勝利州であるが、複数の選挙戦略家はトランプが勝利するためには、ほぼ全ての激戦州で勝利しない限り敗北すると分析している。クリントンはまだ安定した推定選挙人数を獲得している点で有利であることが主な理由である。 同分析機関の最新の当選確率及び推定選挙人数は下記の通りである。
ニューヨーク.タイムス | Five.Thirty.Eight | |||
当選確率 | 選挙人 | 当選確率 | 選挙人 | |
クリントン | 86% | 272 (24州) | 66.9% | 293.9 |
トランプ | 14% | 157 (22州) | 33.0% | 243.4 |
選挙人未定 | 10州合計(109) | 日々数回更新 |
しかし、総体的に両氏の競争は11月8日に激戦になることを示唆している。その最大の理由はクリントンが支持率を失った訳ではなく、トランプの女性に対する性的言動が暴露された後にトランプから離れた一部の支持者は、28日のFBIの報告後に再度跳ね返りを見せたためである。多数の議会メンバーの態度も同様である。例えば、下院調査委員会の主要メンバーであるジェイソン.シャフェツはトランプのテープが公表された後、トランプを支持しない理由として、娘に合わせる顔がないと述べていたが、クリントンの新たなメールが発見された報告直後に態度を変え、トランプを支持すると公表した。これと同様、同じ期間に一時距離を置いていたトランプ一部の支持者はトランプが集会で活気づいたため28日後に跳ね返りを見せたことが最大の要因である。更に、8日に接戦が予測される別の理由は、特にアフリカ系アメリカ人の投票抑圧を促進する動きがあることである。
白人至上主義グループのKKK、ネオナチ、民兵は選挙日に都市部の投票所を監視することで、 黒人の投票を抑制することを計画している。これらのネオナチ.グループは少数派の投票抑圧を促進すること及び何処でそれを行うかを公式に語っている。彼らが都会の投票場に集中する理由は、郊外は圧倒的に白人が多いがアフリカ系アメリカ人は都市圏に集中しているためである。彼らは、トランプが集会で強調しているフィラデルフィアの投票会場に隠しカメラを取り付け、市内のゲットーで「居住者の自宅滞在を誘導する」ため選挙日に酒とマリファナを配る計画である。これらの白人ナショナリスト勢力はすべて不正投票の警告を強調しているトランプの支持者である。実際に彼らが事前に公表した計画を実行するかどうかは不明であるが、これは大勢の法務執行官を動員する要因になるため、暴力の可能性が懸念されている。クリントンは数日前「多数の妨害があります」と述べたことに関連がある。米国の民主的政治システムを崩壊しかねない異常な事態が議会共和党内に多数見られる為、選挙後の二次的結果は計り知れない。