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時が一刻一刻差し迫っている15日、議会は著しい変化があり混乱状態であった。 17日までに政府を再開し債務不履行を回避することが可能であるかどうか疑わしい状況である。また、米国の信用格付けが落ちる瀬戸際にあるとフィツチ.レイテングと呼ばれる格付け機関が警告した。まとまりのない下院が政府の債務不履行を回避する方法は、上院の超党派の法案に投票することであるが今日はほとんど進展がなかった。

下院議長のジョン.ベイナー氏は、昨夜上院で合意に達する可能性があることを上院共和党の少数派リーダーのミッチ.マコネール氏から報告を受け、今朝下院の限られた代表者らと会談したが、下院内で違う意見が多すぎて困惑した様子であり、下院で通過する可能性のある法案を提起することに葛藤したようである 。しかし、ベイナー氏は記者会見で「債務不履行の考えは間違っている。そのようなことにはならない」と明言した。午後、下院は上院の最終決定を待たずに下院独自の法案を提示し、夜投票する予定であったが、信用格付けの警告に動揺し投票を延期した。また、議会の外で、極右派の組織であるヘリティジ.アクションは、オバマケア廃止が含まれていない下院法案に対して投票拒否を促すデモ抗議を開始した。

上院の暫定案は(1)政府に1月15日まで融資する。(2)2月7日まで十分支払いが可能になるよう債務限度を引き上げる。(3)セクエスター(自動支出削減)を1月15日まで続ける。(4)予算削減について、12月中旬までに更に協議する、(5)オバマケア法律下での医療保険の再加入税を延期する。(6)ACA下で政府の助成金を受ける人達の収入適正資格を規定するなどである。下院の提案は、上院案の1、 2、6に加えて、医療器具税を2年間延期する。 選出された政府の役員と職員に対して、ACA下での助成金を排除する。更に、財務省の臨時措置を廃止するなどの法案が含まれている。

臨時措置とは、財務省が借り入れを短期間延長するため臨時の現金管理をすることであるが、下院の共和党は先週からこの措置の廃止を提案していた。これは政府が財政困難に陥ったとき、財務省は様々な現金管理措置を駆使することで債務不履行を回避する事が可能である。一家の家計のやりくりと似ていて複数の財源を動かし、何とか請求書の支払いをする操作に似ている。臨時措置は、財務省のメンバーを除き、議会の監督には及ばない範囲であるため、議会が理解しにくい措置を廃止することで、債務限度引き上げに関して更に議会の権威を強調するためであると考えられる。

ホワイトハウスと民主党は下院の提案に拒否反応を示し、下院少数派のリーダーであるナンシー.ペロシ氏は臨時措置の廃止は「賢い提案ではない」と指摘した。上院多数派のリーダー、ハリー.リード氏は「小グループのティパーティ議員をなだめるための党派的な提案である」と批判。上院共和党の古参議員であるジョン.マケイン氏(アリゾナ)は「座って、下院の提案も検討しよう」と鼓舞したが、下院が投票を延期したため、夜半になって上院のリーダーは再度最終的な交渉の固めに入ったようである。

今日、財務省は臨時措置を駆使しても手元には$350億しかないと報告した。また、格付け機関は、時間内(7月17日)に連邦政府の債務限度を引き上げない場合、世界経済にも影響を及ぼす可能性が高い債務不履行の危機は避けられないと警告した。ホワイトハウスのスポークスマン、ジェィ.カーニー氏は記者団に「下院は上院が行った超党派の努力と同じことを素早く行うべきである」と語った。 上院の法案起草者であるスーザン.コリンズ氏は、もう時間がないため上院がリードし、ベイナー氏を説得して上院の法案を下院で投票させることを提案している。 現時点では上院のみが共和党と民主党が一体となって協議しているが、下院では共和党だけがドアの裏側で交渉していると言われている。夕方、ホワイトハウスで民主党の代表メンバーと彼らの選択肢について協議したオバマ氏は、ベイナー氏が下院議会を統制できないことを指摘した。これは議会の正常な交渉が不可能であることを意味する。