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元CIAの内部告発者である、エドワード.スノーデンは、オバマ政権の高度に機密性の高い監視プログラムを漏洩する前にハワイから香港に飛び、現在も香港のどこかに潜んでいることが判明している。当地のメディアとは接触があり、米国への強制送還の恐怖と戦いながら、自らの運命を香港に託すことを表明している。

今日、香港の約500人の市民は、米国大使館前や香港政府関係のビルの前で、米国の国家安全保障局(NSA)の監視プログラムの停止を求め、スノーデンを保護するよう地元当局に訴えるため人権保護団体などが推進したデモ抗議に参加した。地元の政治家も、オバマ政権にスノーデンを起訴しないよう要請したことが伝えられている。しかし、司法長官のエリック.ホルダーは、極度のダメージを受けていると記者会見で語った。香港では今後も様々な抗議活動が頻繁に行われることを予測していて、「プリズマ」漏洩スキャンダルは、国際的な紛争に発展する気配を呈しているが、香港が彼をどの程度まで擁護できるのか注目されている。

15日の複数の情報筋によると、スノーデンは米国司法省の糾弾発言に対して「米国は中国のコンピューター.ネットワークをハッキングしている」と述べている。彼は、米国の国家安全保障局(NSA)は中国と香港を含む世界各地の61,000以上のハッキング活動を展開していると主張している。香港では中国大学、公人、およびビジネスがターゲットになっているとサウス.チャイナ.モーニング.ポスト(SCMP)に語ったという。SCMPとのインタビューで「正義から隠れるためにここに居るのではなく、犯罪性を明らかにするためである」と述べ、 香港の裁判所と香港の人々に自身の運命を委ねる意図があることを表明している。このインタビューは本人の所在を内密にして行われたようである。米国当局は、監視プログラムの漏洩に憤りを表明しているものの、現在のところ スノーデンを起訴しておらず、 送還要請もしていないようである。香港当局はコメントを控えているが、法律に従った要請があればそれに従うはずであるとの見解も強いようである。

香港の決定は中国政府の決定に影響を受けるため、また、中国政府は米国に協力している記録があるため、スノーデンの香港での運命は不明である。15日の CNNニュースによると、香港の法律は、もし、米国がスノーデンの送還を要請した場合、中国政府は、防衛および外交政策に著しく影響を及す場合に介入できるが、香港が亡命を受け入れた場合「中国政府は任意の亡命手続きに干渉することはできない」と伝えている。デモ参加者の多くは、NSAが世界中の情報をハッキングしているというスノーデンの主張を信じているようである。デモ参加者の一人は、米国は民主主義のチャンピオンであるはずであるが、グローバル規模で秘密に覆われた監視プログラムを行っていると批判し、もし、米国政府の高官が通話情報の全てにアクセスできるのなら、どのように革命を開始できるのかと懸念を語っている。一方、比較的自由な香港情勢に中国政府が介入することに不安を感じ、複雑な心境を抱えている人達もいるようである。

15日のガーディアンによると、香港政府は香港の法律の手続きに従って、スノーデンのケースを対処するという。香港でスノーデンを支持している活動家などは、香港には犯罪人引き渡し条約があるため、中国政府がその決定に介入し、彼が米国に引き渡された場合の米国の処置について懸念を示しているようである。また、香港の複数の政治家は、米国の監視プログラムは「不当」であり「不謹慎」であるとして、全ての真実を公表し、オバマ大統領が「無条件で謝罪」し「干渉を確実に停止」する事を要求している。また、国籍、職業、年齢層も広範なデモ参加者の一人は米国政府の行動は「恥である」と述べ、スノーデンは裏切り者で彼の漏洩行為は違反であると言われているが、米国政府が自国の国民をスパイすることも憲法違反だと思うため、このことの法的解釈が明確になるまでスノーデンの側に立つと語っている。中国大学で509名を対象に、その半数が質問に答えたSCMPの世論調査によると、2名中1人は、米国が要求した場合、「送還されるべきだとは思っていない」とし、降参することに強い反対を表明しているという。一方、「香港は彼を米国に引き渡すべきである」と答えたのは、ほぼ5人に1人であったという。

結論として、米国政府は、中国が数年前から多数の米国の軍事情報、コンピュー関連のハイテク情報およびビジネス情報を盗んでいると推測している。中国側はこの推測を否定しているが、専門家の分析によると、中国が米国の情報をハッキングしていることはほぼ間違いないと言われている。一方、スノーデンはこの点に関しては触れることはなく、 米国が中国を含む世界の情報をハッキングしていると香港市民に公表した。 スノーデンが中国の秘密組織によるハッカー行為の噂を知らないはずはないが、彼がSCMPに語った内容が真実なら、米中の二国間は微妙な立場に置かれることも予測される。しかし、米国はブッシュ政権時代から、テロ対策として多くの外国政府に情報提供の協力を求めているため、外国の政府高官は米国政府の行動に気付いているはずである。また、スノーデンがSCMPに伝えた内容の具体性やその影響力の程度については具体性が欠如している。国際紛争を挑発する意思があるとは思えないが、香港市民が知らない情報を提供することで、自らの運命を香港の人々に託すと公言したスノーデンの意図は単に、香港市民への援助を求めたものであるかも知れない。