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共和党最大の選挙資金提供者であるコーク兄弟は、そのCEOが上院に宛てた手紙で、オバマケア廃止運動の背後にいることを否定したが、逆に真相が判明している。数年、オバマケアを廃止する運動を展開しているティーパーティ組織に彼らが融資した一部は、最近作成された不気味なオバマケアの攻撃ビデオ広告に利用されたことも判明している。また、政府閉鎖が続いている現在、共和党の支持率は記録的に低下している。

9日に上院に宛てたコーク産業CEOの手紙は比較的短い内容であるが、上院の民主党多数派のリーダー、ハリー.リード氏が語ったことに抗議したものである。それは、「コークについて読まれ聞かれていることは多大な誤情報であり、アフォーダブル.ケア.アクト(ACA)又はオバマケアの融資を停止する努力において政府を閉鎖した共和党の戦略の背後にコーク兄弟がいるというリード氏の主張は誤りである」と述べている。コークは「オバマケアは赤字を増大し、総体的に医療の基準を低下させ税金を上げると思っている」が、連邦政府融資の継続決議案法案に関して、オバマケアの融資を停止させる事やそのためのロビー活動には一切関与していないと主張している。また、コーク産業は、支出を最小限に抑え、セクエスター.レベルを維持し、更に広範な支出削減計画を開発し、これ以上債務限度を引き上げる必要がないよう、予算を調整し、政府の支出を引き締め、縁故主義を抑制し、市場を歪める助成金及び強制支出を排除する努力をするべきであると指摘している。また文末に、コーク兄弟の立場をこれ以上歪曲して伝えることがないようリード氏や他の政治家にお願いしたいと述べている。

しかし、政府閉鎖の弊害と米国の債務不履行による世界経済の危機は世界の専門家や 経済学者が懸念しているため、その恐怖が広がりつつある現状で、コーク兄弟が政府閉鎖の原因となったオバマケア廃止戦略の背後にいることを彼らが否定することは当然であると多くのメディアは反応している。しかし、コーク産業のCEOの手紙に記載されているような政策を拡大するため、政治に多大な資金力を活用している事実があることは否定できない。また、コーク兄弟がティーパーティの背後にいることを完全に否定できない事実は多くの主要メディアが調査している。その1例として、5日のニューヨーク.タイムスによると、政府に融資し、オバマケアを廃止する戦略の背後に多数のティーパーティ組織の関与があり、「億万長者のコーク兄弟であるチャールズとデイビッドは、総体的に資金面で深く関与している」と述べている。また、コーク兄弟にリンクしているグループであるフリードム.パートナーズは、オバマケアの融資を停止する戦いに関与している非営利団体に昨年2億ドル以上を寄付している。それにはオバマケアを攻撃するため、彼らが作成した奇妙なビデオ広告費の$500万が含まれているという。

この広告ビデオは、オバマケアの医療保険に加入したばかりの20代の女性が産婦人科を訪問した病室でのストーリである。最初女性の医者が登場し、「じゃ診てみましょう」と言った直後に部屋を出ていった数秒後、女性患者の両足が伸びている診察台の下から突然アンクル.サム(米国政府の擬人化)の仮面をかぶった人物が現れ、医療クリップを持って脅かすという低劣な内容である。この短い演技の後にDon’t let government play doctor およびOpt out of Obama Care いう2つのメッセージが表示される。最初のメッセージは「政府に医者を演じさせるな」と記載され、2つ目は「オバマケアを拒否しなさい」と伝えている。この広告のメッセージは、小規模の政府を目指す共和党のポリシーを反映している。このビデオが公表された後、女子学生の間で話題になり、共和党の評価を落とす結果になったようだ。

コーク産業の手紙には著しい反響があり、コーク兄弟がティーパーティに関与し、オバマケア廃止運動の背後にいることを逆に知らせる結果になった。9日のNBCニュース によると、フリードム.パートナーズはコーク兄弟と緊密な関わりがあり、多くの保守派のティーパーティに資金提供している。フリードム.パートナーズの3人の重役は過去および現在のコーク産業の従業員であり、同組織はACA融資を停止する運動を推し進めている複数のティーパーティ組織に$2.35億を分け与えたという。最近、コーク産業の役員とこの問題について論議し、匿名を希望したある共和党のコンサルタントの話によると、コークの役員は、オバアケアをめぐる戦いが政府を債務不履行に陥れる可能性があることを懸念していると議員に語ったという。コーク産業の関係者は、コーク産業はアップル社のiPhoneのコネクターと他の消費製品を作る会社を先月72億ドルで購入したことも含めてかなり多様化しているため、政府の債務不履行に起因する信用を妨げる可能性があると懸念している。

これは、政府閉鎖の種をまいたコーク産業のCEOが上院議会に手紙を送った動機を裏付けている。オバマケア廃止運動に資金をつぎ込んだコーク兄弟は、皮肉なことに債務不履行の壊滅的な経済的崩壊の危機に例外なく自分達も影響を受けることに気付き、その関与を否定した。しかし、このような風見鶏的傾向は政治家の間にも見られるが、特にオバマケアの廃止運動を先導したティーパーティ議員らは「クレージー」だと批判され、ほとんど共和党がコントロールできない状況になっている。この戦略が失敗であったばかりでなく、彼らの戦略を阻止できなかった共和党は記録的な支持率の低下を体験し、その戦略を押し進めたティーパーティ議員らは大半の有権者に見捨てられた。11日のNBCニュースによると、最新の共和党支持率は24%でティーパーティの支持率は21%である。一方、債務不履行を回避するため、オバマ氏と代表の共和党議員らとの間で真剣な協議が行われているため、「何らかの進歩がある」とホワイトハウスのスポークスマンは伝えている。