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中産階級は白人と黒人で構成され、伝統的に保守派州であるルイジアナで最近幾つかの変化があった。大統領候補者の一人であり財政問題に失敗している同州の知事ボビー.ジンダルは大統領選から離脱した。また、21日に実施された知事選の決勝戦で、民主党州議員のジョン.ベル.エドワーズは共和党の対抗者であった米国上院議員のデイヴィッド.ヴィッターを倒し、ルイジアナ州の知事に選出された。エドワーズの勝利は南部の保守派州で驚くべき結果となった。強い保守州で 2008年以来、初めて知事選に無名の民主党が勝利した事は何を意味しているのか?

21日ルイジアナ州の知事に当選したエドワーズ(写真中央)は、1966年9月16日生まれのアメリカ人弁護士であり、彼はウェスト.ポイントを卒業し、1988年から1996年まで米国陸軍の軍人として従事したことがある。また、2008年にルイジアナ州下院議会の民主党議員に就任し、2012年1月から同州下院議会の少数派リーダーを務めている。2015年州知事選に立候補し、21日の州総選挙で2008年以来、初の民主党知事として選出され、2016年1月からルイジアナ州の新知事として就任する。この選挙で、エドワーズの人気投票はヴィッターの約44%を大幅に超過し、約56% で楽勝した。南部の強い保守派州での知事選で、米国上院議員である共和党対抗者のヴィッターは知名度の点でエドワーズより有利であった為、リードしていたと言われていた。従って、エドワーズの勝利は驚異的な結果をもたらした。

エドワーズは早くからキャンペーンを開始し、対戦相手の支持者に手を伸ばし、州の有権者の将来を熱心に語り、約束を守ることを誓約したと言われている。ヴィッターは同州にシリアの難民を移住させる計画について、シリア難民に不審を抱き、非常に消極的で反対の立場を表明していたが、エドワーズは選挙キャンペーンで、シリア難民受け入れ問題を真剣に捉え、同州の安全性を何よりも優先すると強調したことで同州の支持を得た。パリでのテロ攻撃後、難民の受け入れを一時的に停止することを提案した点では、ヴィッターとさほど変化はない。また、エドワーズはウェスト.ポイントでの経歴や軍人としての経験および超党派の政策を強くアピールした。ヴィッターには長い間、私生活において恥辱があったと言われているが、エドワーズは勝利宣言スピーチで「人々は軽蔑、否定、不信より希望を選択した」と述べた。

ルイジジア州の知事選は興味深い2016年総選挙の二次的結果を予測する動機を与えた。敗北したヴィッターは来年任期を迎える上院への再選に挑戦しないことを公表した。従って、2016年の総選挙でルイジジア州出身の米国上院議員の議席を埋めるため、複数の共和党が議席を競うことになる。しかし、共和党南部州のルイジアナで、エドワーズが当選した事は、上院議席争いで共和党が当選するという確定的な保証がない事を示唆した。なぜなら、ルイジアナ州は党派に関係なく、予備選でトップ支持率の2名がいずれも50%以上を獲得した場合、そのまま総選挙に進むことが可能であるため、同州の現状は民主党に多大なチャンスを与えている。つまり、保守派州で知事選に民主党が当選した要因は、ヴィッターが人格的信頼性を失った事の他に、ヴィッターの空席を必ずしも共和党が補充するとは断言できない財政困難の状況が幾つかある。

現役知事のジンダルは6月24日、大統領選の立候補を公表したが最初から支持率がほぼ最下位であった。9月初旬の世論調査で1%に落ちた後、11月17日にキャンペーンから離脱する事を公表した。彼は中絶問題で厳格なプロ.ライフ派であり、最高裁が合法化した同性結婚に反対するなど徹底した社会保守派である。頻繁に富裕層の減税を強化し、教育費を大幅に削減した為学生の抗議に直面したこともある。貧困者の多い州でありながら、貧困者を援助するためのメディケイド連邦融資を拒否した。また、2007年から米国の大不況に影響を受けた国民や小企業を援助するため、主に雇用創出とインフラ整備に対応することを目的としていた景気刺激対策法と呼ばれる2009年の連邦政府の復興と再投資法に反対した。2007年の知事選のキャンペーンでは減税を公約した為、彼は広範な支持を受けたが、オイル産業で経済が成り立つ同州でオイル価格が急落したことで経済危機に直面した。そのような状況で予算計画に失敗し、風見鶏的に立場を変わることで同州の有権者の支持を失った。ジンダルの様々な政策は、一般の州民に恩恵を与えず、結局州民を失望させた為、有権者は民主党のエドワーズに方向転換を求めた。これはある意味で、ルイジアナ州は政治的転換期を迎えたことを示唆した。