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朝から深夜まで一年中、ジョギング、サーファー、及び世界中の観光客で賑わうワイキキ.ビーチで有名なホノルルはもはやパラダイスではない。人々は歩道に横たわっていて、何人かはほとんど服を着ておらず、ぼろぼろのシャツを着た男性が通りをさまよっていた。別の男性は、レストランから出てきた知事ニール.アバークランビーを認識し、彼に小銭を要求した。アバークランビーはポケットに手を伸ばし、1ドル札を与えた。近年、ホームレスが急増した為、重要な財源になっている観光を無傷のまま維持するため、ホノルル市はホームレスに厳しい対処をする決定をした。

22日のニューヨーク.タイムス(NYT)によると、この「観光メッカ」でホームレスの人口は過去5年間で32%に急増している為、「全米で最も厳しい警察の取締」を強化する結果になっている。ホノルルの警察当局は、ホームレスの人達が歩道上に残した彼らの所有物を毎週10トン没収しているという。ホノルルの民主党市長のカーク.ゴールドウェル(上写真)は今月掲載されたホノルル.スター.アドバタイザーに「ホノルルで危機に発展しているホームレスに対する戦争を宣言する時がきた」と「挑発的なエッセイ」を投稿したという。また、「ホームレスに我々の経済を崩壊させ、我々の都市を乗っ取らせるわけにはいかない」と書いたという。ゴールドウェルは、ホームレスが急増している理由は、ハワイは天候が快適である為、本土から移転する人口層の多くが高い住宅費に直面し、厳しい時に近くに援助する家族がいない為であると語った。また、ハワイでの雇用を期待して本土から移転し、ホームレスになった人達が多いという。34歳の男性は、仕事があるという約束でカリフォルニアから移転したが、職を得ることはなく、まもなくホームレスになった。警察に身分証明書を押収されたため飛行機に乗ることもできないし、IDがあっても航空券を買うお金もないと語ったという。

市議会によるホームレス対策は、ホームレスの人々の所持品を押収し、夜間は公共の公園を閉鎖し、公共の場でテントや掘建て小屋の設置を禁止することである。また、市議会は、歩道や公共空間に横たわり又は寝ている人を見つけた警察官が罰則を与えることを承認する法案を論議し始めた。二つ目の法律は、ワイキキ.ビーチ.フロント近隣での公共排尿や排便の罰金として1,000ドルを科すかまたは30日間拘留することである。また、委員会はホームレスのための低コスト住宅を建設する為、4,700万ドルのプログラムを承認した。

NYTによると、住宅都市開発省は、ハワイの人口は140万人であり、2013年のホームレス人口は6,335人であると報告した。また、ハワイはカリフォルニア州の次に高い割合でホームレスの人達の避難所がない州である。しかし、賑やかな通りにホームレスが増えているのはホノルルだけではない。ポートランド、オレゴン、アリゾナ、ロサンゼルス、フロリダなどその「温暖な気候がホームレスと観光客を招待している」ため、似たような法案が提案されている。観光地域は概して、観光開発とホームレス支援の両方の問題で葛藤があると全国ホームレス地域社会組織の責任者は述べている。ハワイの経済は観光に依存しているため問題はもっと深刻である。観光客からの苦情に対処しているため、多くの人が気付くほどワイキキからホームレスは著しく減少したが、ホームレスを住宅内に入居させる計画の協定があるにも関わらず、これまで実施した処置は、多くのホームレスをオアフ島の観光地外の場所に移動させただけであると当局は述べているという。

コールドウェルは、ホノルル市は問題に対処するための道理的な解決策を模索しているが、市の住宅建設の投資には努力が足りないことを認識していると 述べた。また、「旅行者はここに来た時、パラダイスを見たいのです。公園、歩道またはビーチで寝ているホームレスの人々を見たくはないのです」と語り、 「ホームレスの視覚的影響は解消していない」と述べた。また、この問題を「憲法的で人道的な方法」で解決したいと語った。ハワイ観光局の社長は、ホノルルの観光の懸念だけでなく、島の問題であり社会問題として取り組む動機があると語っている。しかし、複数の関係者は、現在のホームレスの取締とその対策は人道的で思いやりに欠けると見ている。

比較的天候に恵まれた地域にホームレスが移動することは自然的現象であるが、ホームレス問題が深刻化している州および地元行政のホームレス対策には違いがある。主に住宅及び避難所の提供を優先する場合とホームレスを犯罪化する場合とに分か れている。ホームレス人口が毎年増加していると言われるホノルル市は明らかに、ホームレスを犯罪化しているようである。ハワイは昨年の6月、ホームレスを郷里に戻すため片道の旅券を提供するプログラムが提案され、多くのホームレスがこのプログラムに賛同した。しかし数ヶ月後にはコストが高すぎるという理由で法案制定は却下された。

ホームレスの犯罪化とコスト削減政策は「パラダイスの醜い側面」であると言われている。更 に、ホノルルで90%以上が常に満室のホテル業界を含め、多種の観光業で多大な利益を得ているビジネス企業は、ホームレスに無慈悲であるとの悪評もある。 予算が厳しいと言われているホノルル市で承認された低価格の住宅建設が実現するのか、またその住宅の規模は近年増えているホームレスをどの程度まで対応できるのか不明である。