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ミズリー州ファーガソンで8月9日に18歳の黒人男性マイケル.ブラウンが警察官に射殺された後、射殺した警察官の名前の公表を求めて抗議活動が開始された。その後まもなく、暴動に展開した一連の抗議活動で最も目立った事は警察の強烈な軍隊化である。警察官が戦争のフロント.ラインにいる軍隊と変わらない武装をするようになった主要因はペンタゴンの1033プログラムである。この1033プログラムとは一体何なのか? 意外な事実が明らかになっている。

1033プログラムは、1990年に開始された米国国防総省の余剰武器処分計画プログラムである。それは、戦闘車輛機器から小さな銃に至まで、連邦政府の余分な武器を州政府および地方自治体を通して、地元の警察署に配送することを認可したものである。1990年当時は主に、麻薬犯罪に対抗する警察官を援助する為開始されたプログラムであるが、2001年9月11日の同時多発テロ後、連邦政府の反テロ対策の一環として警察を軍隊化する為、大幅に拡大した。全ての武器は無料で提供されるが、多種の武器を受ける機関は一定の規定に従う必要がある。

全国法務執行と修正技術センター(JUSTNET)によると、武器を要求する機関は、法務を執行し、 逮捕する能力のある主要な機能を備えた政府機関でなければならない。受理する機関は武器が転送された後、全ての費用に関する責任があり、全ての送料または連邦政府に返却する場合の費用も責任がある。また、武器財産は国防総省の在庫から引き出されなければならない。連邦政府の財産を賃貸、リース、販売および交換することはできない。また、省庁の予算を補充するため、および将来の使用のために備蓄融資を確保する目的のため利用することは禁止されている。武器の無料提供を受ける機関は、規定の申請書を提出し、承認された後、幾つかの手順に従い、最終的に武器在庫のデーターベースにアクセス出来るようになっている。申請書はシンプルなものであり、特定の武器を必要とする理由を記載することは要求されていない。

以上のような規定に従う必要がある関係機関はどのような武器を受け取っているのだろうか?ペンタゴンからリストの提供を受けたナショナル.パブリック.ラジオ(NPR)によると、2006年から2014年4月23日までに、多数の州政府および地方の法務執行機関に移送された武器の種類と数は驚異的である。それらは(1)79,288挺のアサルト.ライフル、(2) 205の手榴弾発射装置、(3)11,959の銃剣、(4) 3,972個の戦闘ナイフ、(5)1.24億ドル 相当の暗視狙撃スコープを含む暗視機器、(6)479の起爆装置ロボット、 (7)27の貨物輸送飛行機を含む50の飛行機、(8)422機のヘリコプター、(9)360万ドルの価値がある迷彩ギアおよび他の戦闘車輛機器である。

また、1033プログラムを通して、最も多く銃を入手したトップ10のカウンティ(郡)は、それぞれ1,000人当たりで(1)ケンタッキー州のフランクリンが 28.4人、(2)​​ サウス.ダコタ州ヒューズは 18.2人、(3)ワイオミング州ナイオブララは 14.5人、(4)モンタナ州ペトローリアムは 14.1人、(5)テキサス州スターは12.7人、(6)コロラド州ヒンスデールは11.4人、(7)カンザス州シャトークアは8.8人、(8)オレゴン州ウィーラーは8.5人、(9)カンザス州シャイアンは8.1人、(10)ワシントン州ワカイアカムは7.5人である。

最も多く銃を入手したこれらトップ10のカウンティの人口統計を調べたところ、驚くことに全て圧倒的に白人が多い 。ほとんど白人ばかりの地域で、なぜ銃の需要が高いのか、データーは説明していない。

(1)ケンタッキー州のフランクリン:白人80.99%、黒人16.76%

(2)​​ サウス.ダコタ州ヒューズ: 白人88.91% 、黒人 0.19%

(3)ワイオミング州ナイオブララ: 白人98.05%、黒人0.12%

(4)モンタナ州ペトローリアム:白人98.8% 、黒人 0.6%

(5)テキサス州スター:白人96.1%、黒人 0.1%、

(6)コロラド州ヒンスデール:白人97.3% 、黒人 0.25%

(7)カンザス州シャトークア:白人93.83% 、黒人 0.30%

(8)オレゴン州ウィーラー:白人93.34% 、黒人0.06%

(9)カンザス州シャイアン:白人97.91%、黒人 0.13%

(10)ワシントン州ワカイアカム:白人93.46 %、黒人0.26%

また、1033プログラムによる国防総省のコストに関して、トップ10のカテゴリーは(1)車両類が$6.99億、(2)航空機は$3.43億、(3)検波に$1.82億、(4)衣類は$5,200万、(5)建設費に$4,400万、(6)火災のコントロールに$4,200万、(7)武器に$4,000万、(8)電線の費用に$3,900万、(9)医療機器 に$3,800万、(10)トラクター$3,300万の順位である。

NPRによると、なぜこれほどの武器の余剰在庫があるのか、武器分配の決定に至った公共の安全性の目標は何であるのかをこのようなデーターは明白にしていない。なぜなら、犯罪率の高い人口の多い都市が必ずしも多数の武器を受理していないからである。更に、米国の境界線や海岸、麻薬取引の場所やテロの標的になる可能性が高い場所にも多量の武器は送られていない。また、誰が何を受理しているのかを見ると、データーは、なぜ特定の機関が余剰武器を他の機関より多く受けているのかその理由も明らかにしていない。しかし、1033プログラムを提供する事務所がウエッブ.サイトに提供可能な余剰武器を定期的に掲示するため、受理を希望する州および地方の政府機関は申請が可能であり、国防総省は、その申請を承認または拒否しているというシステムになっている。

米国司法省の長官エリック. ホルダーは、今日東部時間午後3時前から記者会見を行い、ミズリー州の警察当局に公民権の違反がなかったかどうかを憲法および連邦法に基づき、広範な角度から調査を開始すると公表した。致命的な武力の使用、抗議者の停止と逮捕、人種差別などの側面も調査する事を明らかにした。このような調査は、過去5年間で記録的に高い 300人の警察官の不法行為が発覚したと報告。ホルダーは先日ファーガソン警察が「 闘争のメッセージを送っている軍隊の武装に深い懸念がある」と述べていたが、驚異的な武器の余剰在庫があり、それを無料で提供する連邦政府にも責任がある為、ファーガソン事件は、強固な武装、催涙ガス、スナイパーなど、警察の過剰な武装を見直す機会になった。 著しい余剰武器の在庫がある主な理由は、イラクおよびアフガニスタン戦争の終焉により武器が不要になった為であると思われるが、ある意味で、軍事費には過剰支出がある一方、長期的失業者の失業保険は削減されているどこか歪んだ財政のあり方も垣間見える。