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オバマ大統領が20日夜公表した移民法の大統領令は、厳密な法的観点から不法であるか否かを充分検討した上で公表されたものである。結果的に数百万人に国外追放を免除し、法的滞在資格を与えた歴史的な移民法改革の一歩は、100人以上の法律家がその合法性を認識し、著名な経済学者はその人間的な対処を称賛した。しかし、ヒスパニック地域社会に勝利をもたらす礎を作った背景には移民による並々ならぬ努力と戦いがあり、ヒスパニックの影響力が強化していることも要因である。

国土安全保障省の長官ジェイ.ジョンソンは24日PBSのインタビューで、行政府には法律顧問の事務所があり、これは行政府の最高裁のようなもので法律的なアドバイスをする弁護士が複数いると述べた。また彼らと行政府に与えられている法的権限について真剣に討議し、「優先課題を改革する行政の法的権限はかなりの柔軟性があり、我々には議会の行動なしに崩壊した移民システムを修正するためにすべき事は幾つかあります」と語り、オバマ大統領の移民法の大統領令に法的問題はないとの見解を表明した。

また、強制送還を停止し、労働許可を与える大統領令は不法であると主張している複数の共和党に反して、多数の法律専門家は合法的であると述べている。25日のAPによると、多数の移民教授や学者は、数百万の書類のない移民(不法移民)に強制送還を免除した大統領の決定は「憲法と行政の範囲内である」と述べている。カリフォルニア大学法学部、ロサンゼルスの法律学校、ペンシルバニア州立大学法学部、ワシントン大学法学部、その他の移民法の専門家で組織される135人の学者は、先週公表したオバマ氏の行政行動の主な2つの規定に焦点をあてた。その一つは、米国市民または合法的滞在者の両親を国外追放しない事であり、労働許可の申請を可能にすることである。二つ目の措置は、選択の余地がなく米国に連れてこられた子供のプログラムを拡大することである。

これら二つのプログラムの適正資格者は推定400〜500万人であると言われている。多くの学者は「大統領の行動は訴追裁量の適切な範囲内で利用されている」事を明白にした。党派に関係なく、歴代の大統領も強制送還から不法移民を守る大統領令を行使したが、今回の大統領令は過去の例より、その対象者数の規模がはるかに大きい為、共和党の強烈な反対に直面した。法律顧問のメンバーの一部は、行政府が大規模な不法移民に対して国外追放を免除し、労働許可を与える事は「訴追裁量の適切な利用ではない」と批判しているという。しかし、135人の学者は、オバマ氏の行動の合法性はその数値的範囲に左右されないと述べ、大統領は、その強制送還を免除する対象者数を決定する裁量があり、それは「法律的な問題ではなく、政策的な選択の問題である」と指摘した。

法律家に加えて、著名な経済学者も大統領の行動を評価した。ノーベル賞経済学者のポール.クルーグマンはニューヨーク.タイムスに投稿し、自分の祖父母がそうであったように、今日の移民も彼らの熱望と行動で、より良い人生を求め、概してそれを見つけようとしている事に変わりはないと述べた。また、それがオバマ大統領の移民政策を「熱狂的に支持する理由」であり、「それは単に人間の良識の問題である」と指摘した。また、 不法移民はアメリカの福祉プログラムを利用することが目的であり、スキルのない移民は賃金を押し下げる影響があるとの批判家の議論もあるとし、賃金を低下させるという経済的論議に関して、その可能性はかなり小さいことを示す証拠があると述べた。従って、「移民政策には幾つかの困難な問題がある」が 「これらの問題について矛盾を感じていない場合、あなたに何か問題があると言いたい」と述べ、「あなたが矛盾を感じるべきではない事の一つは、既にアメリカにいる子供達に対して、全て重要な事で我々がまともな取り扱いをすることである。それがオバマの発議権である」と述べている。また、米国市民または合法的資格のある子供の両親である不法移民は、米国以外に住むところがない為、彼らの親を強制送還するほど「我々は残酷ではない」と指摘した。また、日陰の人生には安定した家、技術と教育の機会もない為、人間的に対処するべきであるとし「今日の移民の子供は明日の労働者、納税者、隣人である」と書いている。

クルーグマンが指摘した通り、大統領令により人間的に扱われた数百万の移民は喜びと感謝を表明した。21日ホワイトハウスの前では大勢の移民活動家が「オバマ大統領ありがとう」のサインを掲げて集った。大統領令は、数百の地域組織、数千の活動家による行進、2013年から開始された家族別離に対抗するキャンペーン、バス.ツワー、電話作戦、書類のない移民が恐れず公的に個人的な体験を語る活動、および選挙公約を通して変化を求めてきた15年以上の戦いによる勝利を意味する。推定400〜500万人に対する強制送還の停止および労働許可は、次の政権が2014年11月20日の大統領令を撤廃しないかぎり、永久的に更新可能である。

この対象に含まれない個人にとっては、まだ法的問題および「拘留や強制送還の恐怖」は残されたままであるが、「大統領令は紛れもなく、その道のり(市民権)に沿った大きな一歩」である。しかし、家族との結合を訴える移民の強い愛情と情熱がなかったら、この歴史的一歩はなかったかもしれない。何よりも顕著な側面は、大半のアメリカ人が市民権を与えることを支持していて、10年前と比較すると移民に対する意識が大幅に変わったことである。国民の理解が向上している社会的風潮に加えて、ヒスパニックの人口動態的影響力が増大したことも一因である。プリンストン大学の調査によると、1960年には米国人口のわずか3.6%にあたる約670万人であったヒスパニックは2000年までに約3,770万人で全人口の13%まで増大した。現在はさらに増大し、約 5,000万人であると推定されている。