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13日上院および下院の両党は、来年から公式にスタートする新議会のリーダーを決定する投票を実施した。両院の多数派および少数派のリーダーは予測通りであった。新議会が始まる前に幾つかの議会の動きがあるが、その中で重要な事は政府の運営に必要な予算の継続法案である。オバマ大統領は13日ミャンマーを訪問し、14日は当地の記者会見で年末までに移民法の大統領令を行使する意図を暗示した。数日前から多くのメディアは、共和党の警告に反してオバマ氏が移民法の行政行動を遂行する計画があることを報道している為、多数の共和党議員は狼狽し、選挙後早速、政府閉鎖の脅威を暗示した。議会の支配力を強化した共和党リーダーは移民改正法で大統領令を公約した場合、オバマ氏と戦うと宣言した。

上院では多数派のリーダーとしてミッチ.マコーネルが満場一致で選択された。ハリー.リードは少数派民主党のリーダーに再選された。また、民主党は2016年の大統領選で議席を取り戻す決意をしている為、マサチューセッツ州出身の上院議員エリザベス·ウォーレンを非公式の連絡役として異例の指名をした。ハーバード大学法学部の教授であった彼女は破産法を専門とし、ウォール街の不正に手厳しい女性である。卓越した頭脳、正義感、行動力のある女性リーダーであるが、政治家としての経験は浅い為、フレッシュなイメージで注目を集めている。又、下院では多数派リーダーとしてジョン.ベイナー、少数派リーダーとしてナンシー.ペロシが再選された。ほぼ同じような顔ぶれのリーダーの下で、新議会は1月からスタートする。

その前の緊急課題は政府を運営する為の融資である。選挙キャンペーンの為地元に戻る前、議会は短期の融資法案を通過させたが、その有効期限は12月11日までである。両院の予算関係者は期限前に政府に融資する為、交渉を続けているが、継続予算法案の投票に失敗した場合、ISIS戦略を継続することは不可能になる。移民法の大統領令をオバマ氏が発令する具体的な日程は不明であるが、この予算法案を楯にして、大統領令を阻止する動きがあった場合、昨年10月の政府閉鎖と同じ危機に直面する可能性がある。懸命なリーダーシップを期待し、共和党に投票した有権者の期待を早々と裏切るような行動を取るとは思えないが、過激な一部の共和党議員は政府閉鎖をテーブルに上げている。

数日前から複数のメディアは、オバマ大統領がアジアから帰国後、移民改正法の大統領令を発令するつもりであると予告している。オバマ氏は、数百万人の強制送還を停止することや、国境の安全性を強化する事、更に特定の移民に高度技術の訓練を与えることなどを含めて、大統領令を駆使する可能性が高い。ホワイトハウスや議事堂の前では、移民活動家が「家族を別離させないで」と抗議活動を行っている為、国外追放を停止することは最優先計画であると思われる。移民政策研究所は、オバマ氏の大統領令には児童到着の遅延行動(DACA)プログラムの拡大、新たな人口層に対する遅延行動の延長、強制送還の対象になっているグループを縮小する法的改良が含まれると予測している。

しかし、オバマが移民法を単独で行動した場合、予算法案の投票を阻止し、政府を閉鎖するか、又はオバマを弾劾すると複数の共和党は喧々囂々である。しかし、大統領は一部の共和党の脅しを恐れている様子はないので、国民に公約したことを遂行する可能性が高い。共和党はこれに対抗するムードを濃厚にしている今日、大統領はミャンマーでアウンサンスーチーとの会談後の記者会見で、年末までに移民法の大統領令を行使する計画を暗示し「彼らは体制を修正する能力があります。彼らには永久的に壊れた体制を待つ事を私に期待する能力はありません。これはやるべき事です。遅れすぎています。我々は10年間論議してきましたが、移民法は 一貫して停滞しています」と語り、これ以上待つ理由はない事を示唆した。

大統領令の計画にうろたえる共和党の反応は様々である。13日、記者会見で下院議長のジョン.ベイナーは「もしオバマ大統領が移民の大統領令に署名するなら、彼の行動は間違った運営方法ですので、下院共和党は戦います」と述べた。14日のワシントン.ポストによると、下院共和党は13日、数百万の不法移民に対する強制送還を停止する大統領令計画にどのように対応するか討議し意見が対立した。 ベイナーは大統領令の計画を「行政の恩赦」と呼び、今後段階的に数ヶ月で「法律への変更に異議を申し立てるため議会共和党の新しい統制力を利用する」意向を表明した。また、オバマ氏が大統領令計画の「 考えを改めるまで長期的に政府を閉鎖することで、大統領の決定を阻止する」との意見が提起された。一方、派閥がある共和党内で、主流派のリーダーシップを強調した穏健派の共和党議員チャーリー·デントは、「これはリーダーシップのための大きなテストだ。私たちは党内で最も騒々しい、最も辛辣な声に耳を傾けることはできない。ある時点で、私たちは政府に資金を供給する必要がある。何らかの要求のために戦うべきではない」と述べ、 昨年10月オバマケアの融資停止を要求し、政府閉鎖に追い込んだ極右派の例を繰り返すことを戒める意見もあった 。

移民に関する大統領令を行使した近年の大統領達

国外追放停止の恩恵を受ける不法移民数については、200万から600万の範囲で、専門家の推測は大幅に異なるが、強制送還は、移民法違反を頻繁に繰り返す個人を含む犯罪者のみに焦点を当てる可能性がある。また、米国とメキシコに沿って国境の安全を強化することも予測されている。更に、ハイテク企業が熟練労働者を無理なく採用する為、ハイテク関連の海外労働者の移民ビザを拡大することなどが予測されている。これは、以前から大統領が語っている計画であるが、大統領令の具体的なスケジュールについては不明である。具体的に判明する前から、独断の大統領令は違法だ、オバマを弾劾する、政府を閉鎖するなど、一部の共和党の極端な発言が目立っている。彼らは、レーガンからジョージW.ブッシュに至まで、多数の歴代大統領が移民に関する大統領令に署名しているにも関わらず、現大統領に対してはどうしてこれほど敵対するのか不可解である。いずれにしても、新議会の主なリーダー達は同じメンバーである為、さほどの変化や向上は期待できそうにない。